外壁塗装の現地調査って何のためにやるの?必要な持ち物や流れについて解説します!

  • 【更新日】2024-08-13
外壁塗装の現地調査 - 持ち物や流れ -

外壁塗装の現地調査は、単に建物を見て回るだけの場ではありません。顧客に対して貴社の説明力や調査品質、誠実な対応をアピールする絶好の機会です。

「人間関係は第一印象が大事」とも言われるように、最初の接点である現地調査でいかに顧客のハートを掴めるかが、その後の成約や継続発注へと繋がっていきます。多くの業者が現地調査にはそれほど注意を払っていないからこそ、現地調査の質にこだわることで、競合他社よりも一歩先を行くことができるでしょう。

そこでこの記事では、現地調査の目的や必要な持ち物、流れについて詳しく説明します。顧客からの信頼を得るための現地調査の重要性を再確認し、より高品質なサービスを提供するための一助としてください。

外壁塗装の現地調査って何のためにやるの?

冒頭でも申し上げた通り、外壁塗装の現地調査は顧客との良好な関係を築くために重要な場です。質の高い現地調査を行うことで、適切な修繕・塗装が可能になり、顧客からの信頼を得ることができます。

外壁塗装の現地調査を行う目的は、大きく以下の3つが挙げられます。

  • 外壁の劣化症状を客観的に示すことで施工の必要性を醸成しやすくする
  • 正確な見積もりを作成することで顧客に対して透明性を提供する
  • 誠実な対応を印象付けることで顧客との信頼関係を築く

それぞれの目的について説明を加えます。

外壁の劣化症状を客観的に示すことで施工の必要性を醸成しやすくする

現地調査の主な目的の1つは、建物の外壁の状態を詳細に把握し、どの程度の修繕や塗装が必要かを「定量的に」判断することです。ひび割れ、チョーキング(塗膜の粉化)、剥がれ、カビや苔の発生などの劣化症状を確認するのは専門道具を使わなくても同じなのですが、それらが感覚による判断ではないことを示すことができます。

通常の劣化診断は、お客様にとっては比較対象がないことで必要性を認識しづらいものですが、定量データでしっかりと劣化状況を客観的に示せることで施工の必要性をより醸成しやすくなります。また、劣化状況を正確に見ることで、単なる再塗装で済むのか、それとも下地の補修や防水処理が必要なのかの判断が可能です。正確な診断は、適切な施工内容を決定するための基礎となります。

正確な見積もりを作成することで顧客に対して透明性を提供する

現地調査では現在の建物の状態を見たうえで、工事にかかる費用の見積もりも行います。そのために必要となるのが、適切な塗料の種類や量、作業時間等を見極めることです。

例えば、湿気の多い地域では防カビ性能の高い塗料が必要ですし、沿岸部では塩害に強い塗料が求められます。

見積もりが正確であれば顧客に対して透明性を提供でき、後から金銭面等でのトラブルが発生するリスクを減らすことができるでしょう。

誠実な対応を印象付けることで顧客との信頼関係を築く

質の高い現地調査を行い、その結果をもとに作成した詳細なレポートや見積もりを顧客に提示することで、「誠実な仕事をしてくれる業者だ」という印象を与え、顧客からの信頼を得ることができます。顧客は自分の建物がどのような状態で、どのような修繕や塗装が必要かを理解することで、安心して任せることができるでしょう。

また、現地調査の際に顧客の要望や質問に丁寧に対応することで、顧客満足度を高めることができます。

現地調査で必要になる持ち物

外壁塗装の現地調査において必要になる持ち物は以下の9つがあります。

  • レーザー距離計
  • 含水率計
  • 打診棒
  • セロハンテープ
  • ゴム硬度計
  • クラックスケール
  • 塗装膜厚検査計
  • マイクロスコープ
  • 下地センサー

それぞれの用途や使用方法について、簡単に説明します。

レーザー距離計

レーザー距離計

出典:BOSCH

レーザー距離計は建物の高さや幅・塗装面積などを正確に測定するために使用されます。これにより、必要な塗料の量や作業時間を正確に見積もることができます。また、測りにくい部分の計測も可能になります。

使用方法

①測定モードを選択する
距離測定モード、面積測定モード、体積測定モードなど、目的に応じて適切な測定モードを選択します。

②測定したい箇所にレーザーを照射する
距離や面積を測りたい対象に向けてレーザーを照射。ボタンを押して確定します。

③測定結果を確認する
ディスプレイに測定値が表示されるため、必要に応じて記録します。

強い日光下ではレーザービームが見えにくくなるため、日陰になるタイミングや夕方などの光の少ない時間帯に測定を行うことをおすすめします。

含水率計

含水率計

出典:Laserliner

含水率計(水分計、水分測定器とも呼ばれます)は、外壁の水分含有量を測定し、適切な塗装が行える時期・天候かどうかを判断するために使用されます。もし水分が多すぎる場合、塗料がうまく定着しない可能性があるためです。

使用方法

①測定モードを選択する
測定する箇所の材質に合わせても適切なモードを設定します。

②センサー部分を外壁に当てて測定する
センサー部分を外壁に当てると水分量がディスプレイに表示されます。

③測定結果を確認する
必要に応じて測定値を記録します。

1か所だけでなく外壁全体のさまざまな箇所を測定し、水分分布を把握するようにします。特に日当たりや風通しの悪い場所、雨水がたまりやすい箇所は重点的に測定してください。

打診棒

打診棒

出典:DOGYU

打診棒は外壁の状態を確認するために使用されます。特に外壁の浮きや剥がれ、内部の空洞などを検出するために有効です。

使用方法

①打診を行う
ボール状の部分を外壁に軽く叩きつけるようにして打診を行います。

②音を確認する
健全な外壁部分は、打診した際に高く澄んだ音がします。

③問題箇所を特定する
浮きや空洞がある箇所は、打診した際に低く鈍い音がします。問題箇所には印をつけておきます。

打診する際の力加減に注意し、外壁を損傷させないようにしましょう。一定の力で均等に叩くことが重要です。

セロハンテープ

セロハンテープ

出典:ニチバン

セロハンテープは外壁のチョーキング現象を検出するために使用されます。チョーキングとは塗膜が劣化して白い粉状になったもので、外壁のメンテナンスが必要であることを示す重要な指標です。サンプルを用意しておけば、お客様の自宅の劣化が通常と比較してどのくらい劣化が進んでいるのかを明示することもできます。

使用方法

①外壁の表面にテープを貼る
3~5cm程度に切ったテープを外壁に貼り付けます。

②チョーキングの有無を確かめる
剥がしたテープに白い粉が付着している場合、その部分の塗膜が劣化していることがわかります。

③劣化の程度を判断する
付着した粉の量を確認し、劣化の程度を判断します。粉の量が多いほど、劣化が進んでいることを示します。

外壁の面によっても劣化状況は変わるため、建物の異なる箇所でチョーキングテストを行うようにしてください。

ゴム硬度計

ゴム硬度計

出典:ムラテック

ゴム硬度計は外壁のコーキング材の硬度を測定するために使用されます。コーキング材は建物の防水性や気密性を保つために重要な役割を果たしていますが、劣化するとその機能が低下します。ゴム硬度計を使って硬度を測定することで、コーキングの劣化状態を評価し、必要な修繕方法を判断することができます。ゴムの劣化度合は目視では分かりづらいため、定量化できることでお客様にとっての納得性が増します。

使用方法

①プローブの設置
コーキング材の表面にプローブ(センサー部分)を垂直に当てます。
②圧力を加える
プローブをゆっくりと押し込み、所定の圧力がかかるようにします。
③測定値を確認する
圧力がかかった状態で硬度計の測定値を確認します。

同じ材料でも箇所によって硬度が異なる場合があるため、複数のポイントで測定を行いましょう。その際、圧力の加え方が不均一だと測定結果が不正確になるため、均等な力で測定するようにしてください。

クラックスケール

クラックスケール

出典:シンワ測定

クラックスケールは主にコーキングにおいてひび割れ(クラック)の幅を測定するために使用されます。ひび割れの幅をを定量的に見せて、幅の大きさ毎にどのような被害が自宅に発生し得る劣化進行度なのかを分かりやすく説明することができます。

使用方法

①ひび割れの清掃
ひび割れの表面を清掃し、目視で確認しやすいようにします。
②クラックスケールを設置する
クラックスケールをひび割れに当てます。
③メモリを読み取る
メモリを読み取り、ひび割れの幅を測定します。

一般的に、幅が0.3mmを超えるひび割れは早急な対応が必要とされます。

塗装膜厚検査計

塗装膜厚検査計

出典:CUSTOM

塗装膜厚計(塗膜厚計とも呼ばれます)は、外壁に塗布された塗料の膜厚(厚さ)を測定するために使用されます。塗膜厚を測ることで、前回適切な塗装が行われたかどうかを確認することができます。

使用方法

①プローブを設置する
外壁表面にプローブ(センサー部分)を垂直に当てます。
②測定ボタンを押す
膜厚が測定され、結果がディスプレイに表示されます。

日当たりや風通しなど、条件の異なる複数箇所で測定を行い、塗装膜の暑さが均一かどうかを確かめるようにしてください。

マイクロスコープ

マイクロスコープ

出典:モノタロウ

マイクロスコープは外壁の表面や細部を拡大して観察するために使用します。肉眼では確認しづらい微細な劣化や損傷、塗膜の状態を確認するのに役立つでしょう。

使用方法

①観察箇所を決める
観察したい箇所にマイクロスコープの先端を付けます。
②ピントを合わせる
接触部分を視点に前後に傾けてピントを合わせます。
③接眼部を覗き観察する
目と接眼部は付かず離れずの距離を保つようにします。

マイクロスコープの倍率は8倍~100倍まで様々ありますが、一般的に外壁の現地調査には25倍が使いやすいとされています。

下地センサー

下地センサー

出典:BOSCH

下地センサーは、外壁内部の状況を確認するために使用されます。具体的には、壁の内部にある柱や配線・配管などの位置を特定することができます。

使用方法

①壁にセンサーを当てる
外壁の表面に下地センサーを当てます。
②ゆっくりと移動させスキャンする
下地センサーをゆっくりと横または縦に移動させ、壁内をスキャンします。
③検出した箇所をマーキング
内部の柱等を検出すると音や光で知らせてくれるので、その箇所にマークをしておきます。

スキャン時は下地センサーをゆっくりと移動させるようにしてください。速く動かしすぎると誤検出や見逃しの原因となります。

現地調査で重要な「劣化診断レポート」

ヌリカエの劣化診断レポートのサンプル
⇑ヌリカエでは劣化診断レポートのサンプルなど成約率向上につながる加盟店向けサポートをご用意しています。

劣化診断レポートは、顧客に外壁の劣化状況を伝えるための資料です。現地調査後に顧客にお渡しし、実際にどのような修繕・塗装を行うかを決定するための検討材料として役立ててもらいます。

具体的に劣化診断レポートに記載すべき内容は以下の通りです。

  • 外壁の劣化箇所の写真
  • 劣化状態の説明
  • 修繕方法の提案
  • 予算等の提案

劣化診断レポートを作成して顧客に渡すだけではなく、口頭での説明も非常に重要です。顧客にレポートの内容を詳細に説明し、顧客からの質問や懸念に対して丁寧に対応することで、顧客満足度を高めることができます。

また、現地調査で劣化診断レポートの作成まで行う業者は、実はそれほど多くありません。多くの業者は簡単な見積もりを出すだけで、レポートを作成する手間を省いているのが現状です。そのため、丁寧に作成した劣化診断レポートを顧客に渡すことで、顧客に選んでいただくための大きな優位点となるでしょう。

なお、質の高い劣化診断レポートを作成するためには、外壁の劣化症状への基本的な知識を持っていることが前提となります。必要に応じて以下の記事も参照してください。

現地調査の流れ

現地調査は概ね以下のような流れで進めていきます。

  1. 日程調整
  2. 現地に到着
  3. 目視での点検
  4. 各種測定・検査
  5. 劣化診断レポートの作成
  6. 顧客への報告・提案

各ステップについて簡単に説明します。

①日程調整

顧客との打ち合わせをし、現地調査の日程をすり合わせます。事前に顧客の要望や懸念事項をヒアリングしておくことで、当日の調査をスムーズに進められるでしょう。

②現地に到着

現場に到着したら建物の全体像を確認し、調査の進め方を決定します。その際、高所作業が必要になるかどうかや周囲の障害物、通行人の安全確保についても確認しておきます。

③目視での点検

建物の周囲を目視で点検していき、ひび割れや剥がれなどの明らかな劣化・損傷を確認します。

④各種測定・検査

レーザー距離計や塗装膜厚検査計などの各種ツールを用いて、外壁の面積や高さ、劣化の度合いなどを測定していきます。

⑤劣化診断レポートの作成

目視点検や測定で得られたデータを整理し、劣化診断レポートを作成します。必要に応じて劣化箇所の写真を撮影し、レポートに添付してください。

⑥顧客への報告・提案

作成した劣化診断レポートを顧客にお渡しし、現地調査の結果を説明します。また、顧客からの質問や要望に応じた上で、必要となる工事内容について提案します。

まとめ

外壁塗装の現地調査は単なる点検作業を行うだけの場ではなく、顧客との信頼関係を築く絶好の機会です。どの程度の修繕や塗装が必要かを判断し、正確な見積もりを作成することで、顧客に対して誠実で透明性のある印象を与えることができるでしょう。

さらに、劣化診断レポートの作成・お渡しも競合他社に対する優位点となります。外壁の劣化状態や修繕方法を写真付きで説明することで、顧客の懸念を解消したり、より安心感を与えられるかもしれません。

なお、現地調査に必要な持ち物としては、レーザー距離計、含水率計、打診棒、セロハンテープ、ゴム硬度計、クラックスケール、塗装膜厚検査計、マイクロスコープ、下地センサーなどが挙げられます。これらの道具を適切に使用し各種測定・検査を行うことで、感覚に頼らずに外壁の劣化状況を正確に把握できます。

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ヌリカエに加盟掲載をご希望の企業様はこちらのページもご覧ください。


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