火災保険を使って保険金を受け取った場合、自動車保険のように次回の保険料が上がってしまうのでしょうか?
結論から言うと、家の修理等のために火災保険を使っても、その後保険料が上がったり、再度使えなくなったりすることはありません。
これは加入している保険会社を問わず、どの保険でも基本的には一緒です。
こちらの記事でのポイントは以下になります。
- 火災保険は何度も請求可能。2度目、3度目も問題なし
- 火災保険を使用しても更新後の保険料は上がらない
- 被害箇所が1度目と2度目で同じ場合、1度目のあと修理した証明を求められる
火災保険は何度でも使える
火災保険の申請回数は無制限となっています。
極端な話、毎年に台風のたびに家が壊れたとしても、そのたびに火災保険を使って修理することもできます。
被害箇所が同じ箇所でも、別の箇所でも問題ありません。
例えば、台風で窓ガラスが破損してしまい火災保険で保険金を受け取って修理したとします。
その後、同保険期間内の台風で同じ窓ガラスが破損してしまったとしても、その修理費用は火災保険の補償対象です。また台風で「窓ガラス」が破損してしまい火災保険を使い、その翌年の台風では「屋根」に穴があいてしまった場合も補償の対象となります。
ただし、同じ箇所の2度目の申請時にはご注意ください。1度目に修理した時の写真や、修理業者の明細・領収書などの「修理した証拠」が必要になります。きちんと修理をして、書類を保存しておきましょう。
被害箇所が異なる場合は、1度目の修理の証明も求められません。
火災保険を一度使っても、更新後の保険料は上がらない
火災保険を何度申請しても、使用したことを理由に保険料は上がりません。
こちらも加入している損保会社や商品に関係なく、火災保険に共通するルールですのでご安心ください。
なぜ使った場合も、火災保険料は上がらないの?
自動車保険を使うと等級が変わって保険料が高くなるのに、火災保険は使っても保険料が変わらないのはなぜでしょうか?
理由をシンプルに説明すると、車は人が運転して使うものであるのに対し、建物等はその土地から基本的に動かないからです。
まず、自動車保険の保険料には、『運転する人の事故の起こしにくさ』が「等級」というしくみで加味されています。
事故を起こして自動車保険を使うと、「この人は事故に遭いやすい使い方をしている」と評価され、更新後の保険料がアップするのです。
一方で、台風や大雪で火災保険を使うことになっても、基本的に住んでいる人に責任はありません。
そのため、保険を使ったからといって保険料も変更されないのです。
建物の損害の受けやすさを決めるのは立地や耐久性ですが、それは保険の契約時に加味されたうえで保険料が決まっています。立地等による被災確率は保険におり込み済みということです。
保険の種類 | 保険料の判断材料 | 使用後の保険料 |
---|---|---|
![]() 自動車保険 |
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|
![]() 火災保険 |
|
|
ただし、契約の更新時に保険料が上がることはありえます。
理由は、築年数の経過が加味されたり、気象データが更新されて立地の評価が変わる場合があるからです。
火災保険はどんな時に使うべき?
火災保険は自然災害で被害に遭った場合や、突発的な事故で自宅を破損した場合は使える可能性が高いです。
基本的には何度使ってもデメリットはないので、該当しそうな場合は都度、火災保険を使った方がお得です。
自然災害で被害に遭った
「火災保険」という名称ですが、火災を含む以下の災害での自宅破損は保険適用対象です。
- 火災
- 落雷
- 風災
- 雹災(ひょうさい)
- 雪災
- 水災
参考:損保ジャパン – 個人用火災総合保険『THE すまいの保険』補償内容
具体的な想定ケース例は下記があります。
- 台風で飛んできた物体が屋根に直撃し、穴が空いてしまったので葺き替え修理をしたい(風災)
- 雹(ひょう)が窓ガラスに直撃し、割れてしまった窓ガラスを交換したい(雹災)
- 洪水で床上浸水し、家財がほとんど使えなくなってしまったので買い替えたい(水災)
突発的な事故で自宅を破損した
自然災害だけでなく、予期せぬ事故でも火災保険の適用対象になります。
- 破裂・爆発
- 外部からの衝突
- 水濡れ
- 盗難
- 破損・汚損
参考:損保ジャパン – 個人用火災総合保険『THE すまいの保険』補償内容
具体的な想定ケース例は下記があります。
- 車が家の塀に衝突し、壊れた塀の修理をしたい(外部からの衝突)
- ガス漏れに気が付かないままコンロを点火し、爆発で換気扇が焼けてしまったので修理したい(破裂・爆発)
- ドアにものをぶつけて壊してしまったので、新しいドアに交換したい(破損・汚損)
加入している保険によって条件が異なりますので、申請する際は保険会社や保険代理店に適用可否をお問い合わせください。
記事のおさらい
火災保険は一度しか使えない?
火災保険は何度でも使うことができます。しかし家の全損・全焼の場合は契約終了になるためご注意ください。詳しくは火災保険は何度でも使えるをご覧ください。
火災保険を使うと、保険料はどうなる?
火災保険を使っても特に更新後の保険料はあがりません。詳しくは火災保険を使っても、更新後の保険料も上がらないをご覧下さい。
最後に
最後にはなりますが、火災保険は一度使っても保険料は上がらず、条件を満たせば再度の請求もできるということは理解して頂けたでしょうか。
災害リスクは住所地や建物の構造によって異なってきます。
「万が一の備え」としての保険のため、仮に受給した保険金を別に使ってしまった後に、もしも自然災害などの損害時に申請できないということにならないように注意しましょう。


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