塗料にはさまざまな種類がありますが、最近、特によく目にするのが「アクリルシリコン樹脂」です。
リフォームするときなどに、業者からアクリルシリコン樹脂の塗料を使うと説明された方もいらっしゃるかもしれません。
アクリルシリコン樹脂の塗料にはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。
本記事では前半にアクリルシリコン樹脂の特徴を、後半では代表的な塗料と選定時に知っておくべきことを解説します。
本記事を読むことで、アクリルシリコン樹脂を使用すべきかどうかの判断がつくようになります。
「まずは塗料の基礎知識について知りたい」という方は下記記事がオススメです。
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アクリルシリコン樹脂とは
塗料は、色を出すための「顔料」と被膜となって塗装効果を長持ちさせる「樹脂」、防カビや遮熱などのさまざまな効果のある「添加剤」がベースとなっています。
このベースに水や揮発性の高い油分を混ぜて塗りやすい状態に仕上げます。
「樹脂」には、アクリル系とシリコン系、ウレタン系などがありますが、アクリル樹脂とウレタン樹脂の長所を併せ持つのが「アクリルシリコン樹脂」です。
略して「シリコン樹脂」や「シリコン塗料」と呼ばれることもあります。
アクリルシリコン樹脂の特徴とは?
アクリルシリコン樹脂塗料は、現在、個人住宅で使用される塗料の約7~8割程度のシェアを占めていると言われています。
近年急速にアクリルシリコン樹脂塗料がシェアを拡大しているのは、アクリルシリコン樹脂に特筆すべきメリットがあるからです。アクリルシリコン樹脂ならではの特徴を4つ紹介します。
塗装効果が長持ちする
一般的な外壁用塗料や屋根用塗料の寿命は、5~10年です。しかし、アクリルシリコン樹脂塗料は、建物の環境や施工方法にもよりますが12~15年は持ちます。何度も塗りなおす必要がなくなりますので、他の塗料を使用しているときよりも塗りなおしの手間や費用を節約することができるのです。
また、塗料が剥がれたり浮いたりせずに長持ちするということは、塗料の持つ効果もその分、長持ちするということです。
防カビ効果があるアクリルシリコン樹脂塗料なら、防カビ効果も12~15年は期待できます。もちろん、防音効果や防熱効果、放熱効果なども同様に長続きすることを期待できるでしょう。
費用対効果が高い
アクリルシリコン樹脂塗料は、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂の塗料と比べると若干価格が高く、アクリル樹脂の約1.5倍、ウレタン樹脂の約1.2倍ほどになります。
しかし、アクリルシリコン樹脂はアクリル樹脂やウレタン樹脂の2倍ほど長持ちしますので、費用対効果に優れています。初期投資費用は他の樹脂を選んだ時より大きくなりますが、長い目で見たお得な塗料を探しているのならアクリルシリコン樹脂がおすすめです。
防汚効果が高い
アクリルシリコン樹脂自体が、高い防汚効果を持つ樹脂です。そのため、塗装してから長時間が経過しても汚れが付着せず、美しい見た目をキープすることができます。
また、汚れが付きにくいということは、塗料に含まれる防カビなどの機能が最大限に発揮できるということでもあります。防熱や放熱、耐候性などの優れた機能も長続きするのです。
変色しにくい
アクリルシリコン樹脂は、水や油、薬品などのあらゆる物質に対して作用を受けにくいという特徴があります。
そのため、塗った直後の状態が長持ちするのですが、機能だけでなく色も長持ちします。例えばウレタン樹脂塗料は、日光などの刺激を受けると黄ばみやすく、塗りたての色は長持ちしません。
いつまでも美しい発色が続くと美観も続きますので、発色にこだわる方も、アクリルシリコン樹脂塗料を選ぶことをおすすめします。
塗料の選択ミスは後悔のもと!しっかり専門家の意見を聞こう
ここまででアクリルシリコン樹脂の特徴について、大まかにお分かりいただけたのではないでしょうか。
しかし、実際にどんな塗料を使用するか決めるときには、必ず専門家の意見を聞きましょう。
塗装は専門性の高い工事なので、素人判断に任せると家の寿命を縮める結果になりかねません。
大切なマイホームを軽率な判断で傷めたくないですよね。
「でも、どんな業者に相談すればいいか分からない……」
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有名メーカーのアクリルシリコン樹脂塗料
戸建て住宅の塗料として圧倒的なシェアを持つアクリルシリコン樹脂塗料は、ほとんどすべての塗料メーカーから販売されています。日本を代表する3つの塗料メーカーのアクリルシリコン樹脂塗料を紹介します。
日本ペイント「ファインシリコンフレッシュシリーズ」

日本ペイント株式会社では、何種類かのアクリルシリコン樹脂系塗料を販売しています。数ある中でも人気を集めているのが、耐候性と低汚染性、使いやすさが特徴の「ファインシリコンフレッシュシリーズ」です。なお、各種サイディングボードだけでなく、コンクリートやモルタル、金属系素地、皇室塩化ビニルなどのさまざまな材質の外壁に塗装可能です。
高耐候性で変質・変色しにくい
日本は四季がある国ですので、夏の暑さだけでなく冬の寒さや乾燥、梅雨どきの高湿度や長雨など気候の変化が激しいです。そのため、単に「暑さに強い塗料」や「多湿状態でも変化しにくい塗料」が求められているのではなく、全方位的な変質・変色しにくさが求められています。
日本ペイントのファインシリコンフレッシュシリーズは、シロキサン配合によってさまざまな気候変化の影響を受けにくい高耐候性を実現しました。日本各地のさまざまな気候下で塗装が長持ちしますので、どの地方の建物でも安心して使用することができます。
透湿性が高く結露がつきにくい
過剰な湿度は家屋の寿命を縮めてしまいます。特に日本家屋は木材を使って建てていることが多いですから、家の内部や根幹部にカビが生えると建物が腐る恐れもあります。また、金属にも湿度は大敵です。サビが付着するだけでなく、素材そのものが腐食する恐れもあります。
ファインシリコンフレッシュシリーズは、透湿性の高さを特徴とするアクリルシリコン樹脂塗料です。湿気を外壁にこもらせずに外部に排出し、結露のつきにくい住宅へと導きます。化石燃料系の暖房器具をお使いの方や海や沼などの湿気の多い地域にお住まいの方は、ファインシリコンフレッシュシリーズのように透湿性に優れる塗料を選びましょう。
環境に配慮
ファインシリコンフレッシュシリーズは、顔料に鉛などの重金属が含まれておらず環境にやさしい塗料です。また、ホルムアルデヒドやクロルピリホスなどの環境破壊につながるか動物も使用されていません。また、セラミックは含有されていますが。親水性が高いため、土壌汚染や水質汚染もほとんど引き起こしません。
関西ペイント「セラMシリコンⅢ」

関西ペイントの「セラMシリコンⅢ」も、高耐候性に優れるアクリルシリコン樹脂塗料です。戸建て住宅はもちろん、鋼構造物にも適した塗料ですので、マンションなどの集合住宅にも使用されます。コンクリートやモルタル、サイディングボード、金属などの幅広い外壁に対応し、長期にわたって美しい発色をキープします。
塗りたての美しさが長期間続く
セラMシリコンⅢは、独自のセラミック変性樹脂が含有されているため、一回の塗装で厚い皮膜を作ります。そのため、塗り重ねる回数を減らすこともでき、手間をかけずに重厚感ある仕上がりが完成します。
しかも、セラMシリコンⅢは防汚性に優れるため、汚れが付着しにくく、塗りたてのつやのある美しさが長続きします。また、度重なる雨水の影響も受けにくく、雨ジミがつきにくいことも特徴です。いつまでも美しい外観を保ちたいマンションや戸建て住宅の外壁に、特に適した製品と言えるでしょう。
微生物が発生しにくい
外壁にカビや藻が付着すると、美観が損なわれるだけでなく、外壁そのものが早期に傷んでしまいます。しかし、セラMシリコンⅢは微生物の繁殖抑制効果が高い素材ですので、長時間多湿状態にさらされていてもカビや藻が発生しにくいという特徴があります。海岸部などの藻が付着しやすい場所や沼地などの湿気のこもりがちな場所の建築物にも、おすすめの塗料といえます。
エスケー化研「クリーンマイルドシリコン」

エスケー化研株式会社の「クリーンマイルドシリコン」も、透湿性や防汚性に優れるアクリルシリコン樹脂塗料です。環境にやさしく低汚染性ですので、環境に配慮した塗料を探している方にもおすすめです。
下地への適用性が高い
下地塗料がほぼ限定されている塗料は多く、大抵の塗料はシリーズ内の下地をセットで使うことが勧められています。しかし、クリーンマイルドシリコンは弱溶性ですので、下地の種類を問わず密着して耐久性を示します。
つや感をコントロールできる
クリーンマイルドシリコンは、3分艶、5分艶、7分艶とつや感を選択することができます。色や機能だけでなく、つやにもこだわりたい方に、クリーンマイルドシリコンはおすすめです。
アクリルシリコン樹脂塗料を使う前に知っておくべきこと
アクリルシリコン樹脂塗料といっても、すべての塗料が同じ性質を持っているわけではありません。アクリルシリコン樹脂塗料の持つ防汚性や耐久性などのメリットを最大限に活かすためにも、次の点を理解しておきましょう。
シリコン含有度が高いアクリルシリコン樹脂を選ぼう
アクリルシリコン樹脂は、アクリルとシリコンの良い点を掛け合わせた樹脂ですが、防汚性の高さや耐久性の長さは、主にシリコンの特性が反映されています。そのため、シリコン含有度が低いアクリルシリコン樹脂を選んでしまうと、アクリルシリコン樹脂本来の長所が生かされません。
ただし、シリコン含有度についてはメーカー資料でも表示されていません。できるだけ信頼性の高い有名メーカーの塗料を選ぶなら、シリコン含有度が高い塗料を選ぶことができます。
アクリル系樹脂とは異なる
アクリルシリコン樹脂を略してシリコン樹脂と呼ぶことはありますが、アクリル樹脂とは呼びません。アクリル樹脂はシリコンが入らないまったく別の樹脂ですので、区別して覚えておきましょう。
塗装業者選びも大切
アクリルシリコン樹脂は、防汚性と耐久性に優れ、長期間、美しい外観と付加機能をキープできる塗料です。こまめに外装工事をせずに済ませたい方や美観にこだわる方も、アクリルシリコン樹脂塗料を検討してみましょう。
しかし、塗装技術が低い業者に依頼してしまうと、せっかくの塗料を活かしきることができません。塗料選びも大切ですが、業者選びも慎重に実施するようにしてください。


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