外壁材の中でも「メンテナンスフリー」の呼び声が高いのが『タイル材』です。
タイル材の外壁は外壁材の劣化が起きにくくいため、新築のハウスメーカーなどは生涯メンテナンスフリーをうたっていることがあります。
たしかに、タイル材の外壁はメンテナンスの必要がほとんどないため半永久的に使用できますが、実はタイル材の外壁には必ず『コーキング(シーリング)』が使用されていることはご存知ない方も多いでしょう。
コーキング材はタイル材と違って必ず劣化を起こすため、定期的なメンテナンスが必要です。
ここでは、タイル目地をコーキングする方法について、一般の方が失敗しやすい点やメンテナンス工事にかかる費用相場などを紹介します。
タイル仕上げの外壁目地にもコーキングが使われている?
メンテナンスの頻度が低く、美しさ・耐久性が持続しやすい建材が好まれることが多くなった最近では、外壁に『タイル材』を使用している一般住宅が増えてきました。
タイル材を使用した外壁のことを『タイル仕上げ』といい、外壁の素地に骨材入りのモルタルやコンクリートを塗り、その上にレンガ風や石彫風のタイルを貼り付けて施工します。
よく似た呼び名の仕上げ方法にタイルカットという仕上げ方法がありますが、タイルカットはタイル貼りのように仕上げるだけで実際にはタイルを使いません。
タイル仕上げは、以前は商業施設や駅・図書館などの公共施設に使用されることがほとんどでした。
ところが、レンガ風や石彫風の有機的な素材が使用されているためメンテナンスが不要というメリットが注目され、一般住宅の外壁にも多く採用されるようになったのです。
さて、もしあなたのご自宅の外壁がタイル仕上げなら、ここでご自宅の外壁を見てください。
タイル仕上げでは、タイルとタイルの間はひっつけずに指一本分くらいの幅の『目地』が設けられていますが、その目地とは別に、弾力があるゴム状の目地があることにお気付きでしょうか?
この目地は『コーキング』の目地です。
タイル仕上げの目地にコーキングが使用されている理由
コーキングといえば、サイディングのパネルとパネルの間のクッションとして、防水材として使用されるものですよね。
それなのに、なぜタイル仕上げの外壁にもわざわざコーキングの目地があるのでしょうか?
答えは『ヒビ割れ誘発目地』です。
モルタルやコンクリート製の建造物の大きな欠点はヒビ割れを起こしやすいことです。
タイル仕上げの外壁は素地にモルタルやコンクリートを打った上にタイルを貼り付けているため、ヒビ割れが起きやすい状態になっています。
もしヒビ割れが起きると、タイルが剥がれてしまうだけでなくヒビの割れ目から水分が侵入して雨漏りの原因になります。
モルタルやコンクリートは性質上、ヒビ割れを100%防ぐことができません。
そこでヒビ割れが起きる場所を計算して「ワザとヒビ割れを起こす箇所」を作り、その場所にクッション材をかませることでヒビ割れを防ぐわけです。
この「ワザとヒビ割れを起こす箇所」にあたるのが目地コーキングです。
タイル仕上げの外壁に設けられているコーキングの目地は「ヒビ割れを防ぐため」という重要な役割を担っているのです。
タイル目地のコーキングの補修方法
タイル目地のコーキングを補修する場合は、2つの工法から選択することになります。
・増し打ち
・打ち替え
増し打ちとは、既存のコーキング材を残したままで新しいコーキング材を充填する工法です。
コーキング材が激しく劣化していないときに使える工法で、工期が短く安価である反面、クッション性・防水性は劣ります。
打ち替えとは、既存のコーキング材をカッターナイフで剥ぎ取り、新たなコーキング材を充填しなおす工法です。
コーキング材がヒビ割れ・剥がれを起こしている場合には、劣化が激しくクッション性が失われているため迷わず打ち替えることをオススメします。
わずかに工期が長くなり、費用も高くなりますが、ヒビ割れを防ぐためのクッションという性能は完全に取り戻すことができるでしょう。
業者依頼でもDIYよりオトクに外壁・屋根を塗装する方法
業者への工事依頼は、一見DIYよりも高く感じます。
しかし、長期的なコストパフォーマンスを考えると、DIYよりもオトクになることが多いです。
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外壁塗装を安くするための助成金・火災保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
タイル目地のコーキング、DIYで補修する際の3つの注意点
コーキングの劣化は、軽度のものであればご自身でもDIYで補修できます。
しかしタイル目地のコーキングについては、サイディングの目地コーキングなどとは違った注意も必要になってきます。
タイル目地コーキングをDIYで補修する際の3つの注意点を紹介しましょう。
注意点① 打ち替えはDIY不可、DIYなら増し打ちのみ!
タイル目地コーキングの主な目的は、サイディングの目地コーキングとは違ってモルタルやコンクリートのヒビ割れを防ぐことにあります。
つまりコーキング補修に失敗してしまうと、モルタルやコンクリートのクッションがなくなってしまい、予期せぬ箇所に大きなヒビ割れが発生してしまうことになるのです。
タイル目地コーキングのDIYは、部分的な補修やコーキング材の補充目的の増し打ち程度にとどめておき、打ち替えはしないほうが賢明です。
注意点② 目地にコーキング材以外を使用しない
タイル目地コーキングが担う重要な役割を理解していないと、なぜ一部の目地だけに耐久性が低いコーキング材が使用されているのか理解できないでしょう。
タイル目地は「何かが詰まっていればいい」「隙間さえ埋まっていればいい」というものではないので、モルタルやセメントで固めてしまったり、パテ埋めをしてしまったりといった施工は厳禁です。
最初からヒビ割れ誘発目地がない場合は別ですが、わざわざコーキング材を使用しているということは、その場所にヒビ割れの力が集まるように設計されていることを意味します。
つまり、タイル目地コーキングが施工されている箇所に弾力性がないモルタル・コンクリート・パテを充填してしまうと、間違いなくヒビ割れが起きるということです。
タイル目地には必ずコーキング材を充填しましょう。
注意点③ 3面接着にならないように絶縁する
タイル目地コーキングはクッションの役割が強いため、絶対に『3面接着』にならないようにしないといけません。
3面接着とは、上下または左右の2面と、奥面の合計3面が接着された状態のことです。
通常、コーキングは上下または左右の2面のみしか接着してはいけません。
2面に加えて奥面も接着した3面接着の状態では、力の逃げ場がなくなってしまい、クッションとして十分に機能しなくなります。
これはヒビ割れ誘発目地としての役割を持つタイル目地コーキングにとって重要な問題です。
タイル目地にコーキングを施工する前には、必ず奥面に絶縁シールを貼って3面接着にならないようにしましょう。
コーキングって思ったより大変そう…そう感じたら業者に相談しよう
コーキングの補修について「できるだけ修理費用を安くしたいから、DIYで修理したい!」と考える方も多いかもしれません。
しかし実際には、DIYよりも業者に依頼するほうがお得なケースがほとんどです。
コーキングをDIYで行うと、商品選びや道具を揃えることに時間がかかり、きれいに仕上げるのは至難の業で手間もかかります。
そのうえ専門知識や技術がないまま施工すると、上手にコーキング材が充填できなかったり、仕上がりが悪くなったりして後悔する可能性もあるでしょう。上手く施工するにはポリサルファイド系、変成シリコーン系といった最適なコーキング材の種類を選択するための知識はもちろん、施工の技術も必要です。
それなら、はじめから専門業者に依頼したほうが、時間もお金もオトクですよね。
一括見積もりサービスのヌリカエなら、全国多数の加盟店の中から、リーズナブルな優良業者に絞ってご紹介することができます。
ご利用は完全無料なので、DIYで修理をする前にまずは業者の見積もりを見てみませんか?
参考:コーキング施工 キホンのキ 7つのポイント|シャープ化学工業株式会社
タイル目地コーキングの補修で失敗しないためには?
タイル目地コーキングは、外壁全体のヒビ割れを防ぐためのクッションとしての役割を担っています。
もし、施工不良を起こせば、下地のモルタル・コンクリートのヒビ割れや剥がれにつながり、タイルが剥がれ落ちてしまうこともあります。
タイル目地コーキングを失敗しないためには、
・コーキングは『増し打ち』にとどめておく
・コーキング材以外を使用しない
という注意点を守る必要がありますが、それでも万全だとはいえません。
タイル目地コーキングは、補修ができたとしてもDIYに頼るのは危険です。
DIYでは、見た目にはしっかりコーキング材が充填されているようでも、クッション性まで満たされているかまでは定かではありません。
もし、タイル仕上げの外壁で、目地コーキングの劣化や損傷が気になるという場合には、外壁補修の専門業者にお願いをして検査してもらうことをオススメします。
タイル目地コーキングの費用相場
タイル目地コーキングの補修を専門業者にお任せした場合の費用相場は、増し打ち・打ち替えのどちらで施工するかによって差があります。
【タイル目地コーキングの費用相場】
・増し打ち…1mあたり500〜900円
・打ち替え…1mあたり700〜1,200円
サイディング外壁の場合、1mあたりの単価に対してコーキングの施工範囲が大きく、増し打ちで10〜18万円くらい、打ち替えになると14〜24万円の工事費用がかかります。
これに足場代を加えると、工事費用の総額は25〜40万円程度になります。
一方タイル目地コーキングでは、壁面いっぱいにコーキング目地があるわけではないので施工範囲が小さくなり、工事費用は安くなります。
足場も全面に高いものを組む必要がないため、工事全体で20〜30万円で済むことが多いようです。
建築時の施工費用は高くなりますが、後々のメンテナンス費用が割安になるというのは、タイル仕上げ外壁の大きなメリットですね。
タイル目地コーキングの補修、DIYと専門業者のどっちがいい?
タイル目地コーキングは、決してDIYでは施工できないというものではありません。
専門業者が使用しているコーキング材と同じものがホームセンターでも購入できるので、上手に施工できれば打ち替えだって可能です。
材料費だけを負担すると考えれば、数千円の出費で済ますことができるでしょう。
ただし施工が不十分だと、先々には大切な住宅の外壁にヒビ割れが発生してしまうおそれがあります。
一方外壁補修の専門業者にお願いをすれば、扱いが難しいタイル仕上げ外壁の目地コーキングを確実に施工してもらえます。
そのかわり、足場の敷設なども含めると安くても20万円以上の費用がかかるので「気軽に」というわけにはいきません。
DIYと専門業者のどちらが良いのかを決めるには、手間や費用をカンタンに比較するだけでは不十分です。
特にタイル目地コーキングはクッション性という重要な役割があるので、まずはご自宅の状態を確認するために無料の建物診断を受けましょう。
そのうえでやはり補修が必要な状態であると診断されれば、複数の業者から見積書を取り寄せて施工内容と費用を比較し、DIYにするか、それとも信頼できる専門業者にお任せするのかを決めるのがベストです。
タイル仕上げ外壁でも目地コーキングはメンテナンスが必須!
メンテナンスフリー・補修は永久に不要などといわれているタイル仕上げの外壁ですが、目地のコーキングだけは定期的なメンテナンスが必要です。
タイル目地コーキングだけでなく、コーキングに関する全般的な記事もあわせてお読みいただくことで「コーキングってなに?」「コーキングの費用相場っていくら?」といった疑問も解消できるはず。
ぜひ本記事とあわせてご覧ください。