「漆喰(しっくい)の外壁を検討しているんだけど、特徴やメリットが知りたい!」
「漆喰外壁のメンテナンスの頻度は?費用はどれくらい??」
上記のような疑問をお持ちではありませんか?
漆喰は5000年ほど前から使用されていた建材のひとつですが、最近は目にする機会が減ってきましたね。
「漆喰の外壁がどんなものなのか分からないから手を出しづらい」「DIYも検討したいけど難しそう」などと悩んでいる方も多いかと思います。
左官職人により練り上げられる漆喰。昔ながらの手法は「コテで何層かに塗っていく」ですが、今はもっと楽に塗れる方法があるんです。
今回の記事では、
・漆喰外壁の特徴や費用
・DIYで漆喰壁にする方法などをお伝えしています。
ぜひ最後まで読んでみてください!
漆喰の外壁とは?
「漆喰の外壁」とは、左官と呼ばれる専門の職人が素材をぬり込む「左官仕上げ」の中で、漆喰(しっくい)という素材を使用した外壁を指します。
漆喰は石灰が主な成分ですが、一般的な日本の漆喰と、西洋の一般的な漆喰では成分内容が異なります。
日本にある一般的な漆喰は、スサ(つなぎ材)と消石灰(しょうせっかい)、ノリを混ぜたものです。ほかにはノリを入れない「土佐漆喰」や、沖縄の屋根瓦の工事に用いられることが多い「琉球漆喰」なども存在します。
西洋の漆喰は、砂が石灰に入っているもの、ノリが入っていないものが標準的ですね。
漆喰はどんな外壁に使われるの?
一昔前は伝統的な日本建築、とりわけお城やお寺などは外壁の仕上げに漆喰が当たり前でした。
別の工法や素材など選択肢が多い現在、一般的な住宅に本来の漆喰の外壁を使うことは減ってきているでしょう。
今時、左官仕上げの壁でよく見て取れるのはアクリル樹脂系の「左官塗り材」ですが、その中で「漆喰調」に仕上げることのできる材料はあるかもしれないです。
また、漆喰仕上げの一つとして、外壁に「スペイン漆喰」や「スイス漆喰」のような西洋の漆喰が塗られることも。輸入住宅などで取り入れられる例も存在しますが、外壁で使用する場合、漆喰の特徴である自然素材のあたたかみなどが求められているみたいですね。
漆喰外壁とモルタル外壁の違い
ほとんどの住宅の外壁にはサイディングという外壁材が使用されていますが、独特の質感は塗り壁しか出せないと思われます。塗り壁材は基本的にモルタルや漆喰です。30年ほど前までは、モルタルは日本の住宅の外壁として多く使用されていました。
外壁が「漆喰なのか」「モルタルなのか」を見分けたい人も多いかと思います。漆喰の壁なら、コリコリとこすると少し粉っぽい感じがして、層のようなものが感じられますよ。モルタルの塗装が劣化したことで起きるチョーキング現状とは全く違うので、分かりやすいと思います。
チョーキングとは
外壁塗膜のメジャーな劣化現象の1つ。モルタル外壁の場合は手で触れると白い粉状の物がつき、見た目を確認すると色が抜けたような褪色(色あせ)の発生が確認できる。漆喰壁の特徴
特徴 |
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耐用年数 | 30年~100年以上 |
メンテナンス頻度 | 10~15年+日頃の掃除 |
色 | 白、灰色、黄土色ほか |
原材料 | 消石灰の粉末、繊維、樹脂等 |
種類 | 本漆喰、土佐漆喰、琉球漆喰、西洋漆喰、既調合漆喰など |
漆喰の魅力は、なんといっても自然素材の風合いと仕上がりの美しさです。
漆喰外壁の種類
一口に漆喰と言ってもその種類はさまざまです。
以下↓↓の表では、漆喰外壁の種類と見分け方をお伝えしています。
漆喰の種類 | 特徴と見分け方 |
---|---|
本漆喰 | 真っ白な見た目が特徴的な伝統的な漆喰/古くからの漆喰の建造物はほとんど本漆喰が使われている |
琉球漆喰 | 土佐漆喰と似ているものの、紫外線で色あせるまでは濃い黄色~薄い茶色に仕上がる/沖縄の屋根瓦の工事に良く使用される |
西洋漆喰 | イタリアなどで使用され、日本に輸入されているもの。/白く輝いており、西洋の教会やお城などに使用される |
既調合漆喰 | 建材として最も人気がある漆喰/熟練の左官工でなくても美しく仕上がる |
土佐漆喰 | 高知県で昔から使用されていた漆喰/琉球漆喰と同じく黄色や茶色の色合いになるが、琉球漆喰の方が濃い |
漆喰外壁で選べる色
伝統的な漆喰で外壁を仕上げたい場合、使える色は白一択です。
近年は、白以外に着色された「色漆喰(カラー漆喰)」も登場しており、灰色、黄土色などの黄色系、橙色、藤色、萌黄色、薄緑色など、千代紙のような和風の配色を中心に、多数のカラーラインナップをもつ商品があります。
ただし、これらの色漆喰はほとんどが内壁用。外壁にはやはり白が一番しっくりくると思われます。
漆喰外壁に塗り替えるときの費用相場
画像出典:ノークホームズ
モルタルなどの下地に漆喰を塗装する場合の費用相場は、1㎡あたり5,000円~8,500円です。
そのため、一般に多い30坪の工事だと、おおよそ50〜100万円となります。
ここに養生費用や足場費用、人件費がかかるため、総額は150万円~300万円となります。
漆喰外壁のメリット・デメリット
漆喰外壁のメリットやデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
今から詳しく解説していきますね。
漆喰外壁のメリット
フラットかつマットな質感
漆喰外壁は、パーツの継ぎ目がない平らで光沢のない仕上がりになります。
近年主流のサイディング外壁には求められない、風合いと高級感があります。
また、塗り方によってさまざまな味が出せるのも、手作業仕上げである漆喰の魅力です。
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耐用年数が長い
サイディング外壁の耐用年数が約20~30年であるのに比べ、漆喰の耐用年数は30年~100年以上と長期間です。
ただし、それだけもたせるためには日頃のメンテナンスは必要になります。
調湿効果がある
漆喰面は多孔質(凹凸)構造であるため、呼吸をしています。そのため、吸湿・放湿効果があります。
ただし、調湿効果を期待するためには漆喰をある程度、厚塗りする必要があります。
消臭・消毒効果がある
漆喰の主成分である消石灰には、殺菌効果があります。
これにより、ニオイやカビの発生をおさえる効果が期待できます。
また、漆喰自体も天然無機物の素材であるため、アレルギーやシックハウス等の原因となる有機物質を放出しません。
漆喰外壁のデメリット
費用が高額
漆喰の塗装には日数がかかります。技術をもった職人が希少なため、施工費用が高いのも悩ましいところですね。
サイディング外壁の施工の2~4倍程度の人件費がかかるでしょう。
汚れやすい
漆喰の表面は細かい凹凸があり、汚れが付着しやすく、また落ちにくいのもデメリットです。
とくに窓のサッシの下に雨染みが付きやすいため、きれいな状態を維持するにはマメな外壁の清掃が必要になります。
ひび割れのリスクが高い
乾燥後の漆喰には弾力性がほとんどないため、表面がひび割れやすい素材といえます。
ただし、近年は下地処理の技術も上がっており、解消傾向にあります。
上記のメリット・デメリットを総合すると、漆喰の外壁は高級感と風合いがあり、長く使えて安全性も高い反面、費用が高くきれいな状態を維持するには手間がかかる素材だと言えますね。
漆喰外壁のメンテナンスの方法
漆喰はもともと汚れに強い素材であるため、それほど頻繁にメンテナンスする必要はありません。
ですが、きれいな見た目を長く保ちたいなら、汚れを見つけ次第マメに手入れをすることをおすすめします。
本章では、漆喰外壁につく汚れの例と適切なメンテナンス方法を解説します。
汚れレベル別のメンテナンス方法一覧
汚れの度合 | メンテナンス方法 |
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軽い汚れ |
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しみ込んだ汚れ |
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しつこい汚れ |
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漆喰のヒビ、剥離 |
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漆喰の表面についた汚れの多くは、家庭にある掃除用具などを使えば自分で落とせます。
清掃では直らない傷みの修復は、DIYで補修するか、業者に依頼して塗り替えてもらうことになります。
軽い汚れの落とし方
漆喰表面の黒ずみや土ホコリは、「布」「消しゴム」「メラミンスポンジ」などを使って落とせます。
まずは、表面を「洗剤をつけて絞った雑巾で拭く」ことを試してみましょう。
それで落ちなければ、「汚れた部分に消しゴムをかける」→「メラミンスポンジで汚れをこする」の順に試すことをおすすめします。
上記↑のメンテナンス方法は、漆喰面を削る作用が弱い順に並んでいます。
外壁をきれいに保つためには、塗りたての滑らかな状態に保つことが望ましいので、塗装面に負担をかけない方法から試すべきです。
なお、ブラシで掃除すると漆喰が剥がれるおそれがあるので、使うのを控えるかか、柔らかいブラシで軽くこする程度にとどめましょう。
関連記事:漆喰外壁の汚れの要因や取り方|汚れを発生させないための対策とは
染み込んだ汚れの落とし方
漆喰の層に染み込んでしまった汚れは、「300番以下のサンドペーパー」を使って削り落とすことができます。
なるべく表面を荒らさないよう、細目の280~300番手の粗さから試してください。
もし落ちなければ、150番手ぐらいの中目のサンドペーパーを使ってみてください。
中目や粗目のサンドペーパーで染みが落とせたら、300番手の細め目のもので仕上げ直をしておくと、表面が滑らかになって次の汚れが付きにくくなります。
サンドペーパーを購入する際は、目の粗さの違う複数枚セットの商品を選ぶと便利です。
ホームセンターやネット通販等で、500円以下で入手できますよ。
商品例:KAKURI 紙ヤスリMIXセット 12枚入(#80・#150・#240・#400×各3枚)
しつこい汚れの落とし方
上記↑の方法で落ちないひどい汚れやカビは、「塩素系漂白剤」を吹付け、時間を置いて洗い流して落としましょう。
漂白剤は、スプレータイプの商品が外壁に吹き付けやすく便利です。
使用の際は、漂白剤が直接肌に触れたり、目などに入らないようにご注意ください。
漆喰のヒビや剥がれの直し方
漆喰外壁にヒビが入ってしまったり、一部分が剥離してしまった場合は塗り直しが必要になります。
漆喰は、部分的に塗り直すと周囲から色が浮いてしまうことが多くあります。
そのため、美観を重視するなら一面を塗り替えたいところですが、費用も高額になります。
全体的に劣化が激しい場合は大掛かりな作業になり、既存の漆喰を一旦剥がしてから、下地調整後に塗り直しとなります。
業者に依頼する場合
漆喰の塗り替えを業者に依頼する場合にかかる費用は、重ね塗り補修で「3,500円/㎡~」、古い漆喰を剥がしてから塗り替える作業で「5,000円/㎡~」です。
一戸建て住宅の外壁全面を漆喰に塗り替える場合は、足場費用などを含めて合計50~60万円ほどかかります。
信頼できる塗装業者をみつけるには
外壁塗装の正確な金額を知るためには、「現地調査」を受ける必要があります。
そのとき重要なのが、複数社から見積もりを取得して「比較をする」こと!
・「適正価格かどうか?」
・「工事内容は適切か?」
・「要望を聞いて提案してくれているか?」
などが判断でき、失敗しない外壁塗装工事ができるのです。
工事案は、それぞれの業者で異なってきます。1社のみの見積もりでは、その工事案が自宅に最も適切なものなのか、判断ができません。
複数の業者に見積もりを取ることによって、もっとも自分の希望に沿った外壁塗装工事はどれなのか、選ぶことができるのです。
そんな方は、カンタンに無料で比較見積もりが可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。
漆喰外壁のメリット・デメリットは?
断熱性・防火性が高く、耐用年数が長いのがメリット。施工費が高く、ひび割れしやすいのがデメリットです。詳しくは漆喰外壁のメリット・デメリットをご覧ください。”
漆喰外壁にはどんなメンテナンスが必要?
約15年おきに、重ね塗りか塗り替えが必要になります。重ね塗りの費用は1㎡あたり「3,500円~」、塗り替えの費用は1㎡あたり「5,000円~」が目安です。詳しくは漆喰壁のメンテナンスの方法をご覧ください。
自宅の外壁を漆喰壁にリフォームする方法は?
モルタルの外壁を、「下塗り」→「養生」→「中塗り」→「養生」→「上塗り」する工程になります。費用は1㎡あたり「7,500円~」が目安です。詳しくは外壁を漆喰壁調にリフォームする方法をご覧下さい。
信頼できる、漆喰外壁の施工ができる業者を探す方法は?
複数社から見積もりを取得して「相見積もり」をとることです。詳しくは信頼できる塗装業者をみつけるにはをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。