本記事では、一戸建てのリフォームや新築に向けてデザインを検討中の方に向けて、
- 和風な一戸建てのデザイン事例
- 和風デザインに使われる色・素材のパターン
- 和風デザインの外壁に仕上げるコツ
等について、数多くの写真とともに分かりやすく解説しています。
お家の外壁のデザインを決めるにあたって、候補やイメージを固めるお役に立てば幸いです。
▼外壁のおしゃれな配色・色選び全般について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
- 色は「鳥の子色(とりのこいろ)」「丁子茶(ちょうじちゃ)」といった和の伝統色を意識する
- 明度差を大きくすると和風に仕上がる
- 外壁材は「金属系サイディング」「窯業系サイディング」「塗り壁」が和風なイメージになりやすい
和風なデザインとは?
「和風」という語を辞書で引くと日本古来の文化を感じさせる物事といった意味が出てきます。
「和」とはもともと「調和」や「均衡」を指す言葉であり、四季の変化を楽しむ日本人の精神性を表現するものです。つまり和風な建物とは、日本的な特色や味わいを取り入れたデザインのことです。和風の中でもさらに、「モダン和風」や「純和風」と区別化されることがあります。
著名な和風な建物
奈良ホテル
奈良ホテルは1909年に営業開始し、「関西の迎賓館」と呼ばれている創業100年超えのホテルです。日本建築の中に和洋折衷様式が組み込まれ、当時の近代文化を象徴する建物です。
外観は桃山御殿風檜造りとなっており、内部は文明的とされた重厚華麗な洋風建築が施されています。
鹿苑寺
鹿苑寺(ろくおんじ)とは、京都府にある臨済宗相国寺派の塔頭寺院です。金箔が貼られた舎利殿から、「金閣寺」と呼ばれ、世界遺産にも登録されていることで有名です。
光輝く美しさを誇る鹿苑寺のデザインは、2層と3層に漆の上から純金の箔が塗られています。また、各層で建築方式が異なり、頭頂部には鳳凰が飾られています。
一般住宅にとり入れる際のコツ
「シンプル」「フラット」などを一戸建てのデザイン向けに少し具体的にすると、例えば以下のようなことといえるでしょう。
- 和風の伝統色を取り入れる
- 彩度が低くくすみのある色を選ぶ
- 和モダンは伝統色とモダンのバランスを取る
- エクステリアの雰囲気も考慮する
これらのポイントを踏まえて、和風でおしゃれな一戸建てで使われている色や素材とデザインのバリエーションをより深く見ていきましょう。
和風な外壁に使われる色
和風な印象の家にしたい場合、メインカラーは「白」「茶色」「ベージュ」「黒」「緑系」などを使います。伝統色で表すと、「鳥の子色」と呼ばれる黄色みがかかった白、「丁子茶(ちょうじちゃ)」と呼ばれる茶を帯びた丁子色などがよく使用されていました。他にも、伝統色は数百種類にのぼります。
メインカラー別に、和風デザインの事例を見ていきましょう。
白
まるで職人が丁寧に塗り重ねたような、温もりのある白をメインカラーとした建物。古くから日本の住宅で使われてきた杉板を再現した金属系サイディングと組み合わせ、和のテイストを再現しています。
茶色
杉板を再現したダークブラウンの金属サイディングが全面に使用されている建物。 木目や節、ランダムな縦目地など繊細な再現がされています。
和を感じさせるエクステリアの相性も良く、「調和」を大切にする和風を見事に再現しています。
黄色
細長い石を積み重ねたような緻密な黄色の金属系サイディングがベースとなった建築物。黄色単色だとポップでアメリカンな印象になりがちですが、杉板を再現した和木目柄のブラウンがアクセントとなり、和の雰囲気が演出されています。
「色別の施工事例集」を見たい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の色の選び方&全10色分の仕上がり写真30選」
和風な外壁に使われる素材
和風な外観に近づけるには、外壁材の選び方も気をつける必要があります。
和風デザインのにしたい場合、外壁は「金属系サイディング」「窯業系サイディング」「漆喰」から選ぶとよいでしょう。
金属系サイディング
画像出典:ケイミュー 和風デザインの外壁をイメージする際には、金属系サイディングが適しています。
金属系サイディングは柄や色が豊富に販売されており、重厚感のある和風デザインの表現に適しています。金属系サイディングはやや安っぽい仕上がりだと誤解されがちですが、繊細に表現された木目や石柄が和風の住宅に相性よくマッチします。
特にケイミューから販売されている金属系サイディングは、深い造形と高いデザイン性で評価を受けています。
「金属系サイディング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「金属系サイディングとは?種類、メリット・デメリットと代表商品を解説」
>>「ガルバリウム鋼板外壁材のデザインパターンと施工事例15選。イメージ通りにリフォームするには?」
漆喰
漆喰は耐久性の高さと防火性が評価され、重要文化財に指定されている「姫路城」にも使用されていることで有名です。明治維新後には一般住宅にも広く使用されるようになり、優れた機能性と美しいデザイン性から選ばれている外壁材です。
漆喰は左官職人が手作業で作られるため、漆喰特有の風合いも人気の1つです。
「漆喰外壁」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「漆喰外壁に変えるとどうなる?漆喰の魅力とメンテナンス方法を解説。安く施工する方法も!」
和風な外壁のデザインパターン
和風なイメージの住宅は、さらに2種類に細分化できます。
スタンダードな「和風ベーシック」、和のテイストと現代的なテイストをバランスよく取り入れたスタイリッシュな「和モダン」から、好みのパターンを見つけましょう。
和風ベーシック
和風ベーシックはシンプルなフォルムに、和の伝統色やくすみのある控えめな色調が特徴です。古き良き日本の街並みを連想させるような配色と、木質感のあるパーツが和を強調させています。
和モダン
漆喰外壁のようなアイボリーをベースに、ブラックをコントラストとなってスタイリッシュで和モダンな印象を与えています。格子デザインが和の要素を強調しつつ、軽い屋根勾配によって現代性も表現しています。
外壁を和風なデザインにするためのポイント
施工事例の収集を通して見えてきた、和風なデザインの共通点や、和風デザインをとり入れた家としておしゃれに魅せるための鉄則をご紹介します。
くすみがかかった色を使用する
和風デザインの家にしたい場合、彩度が低い色を取り入れるのがオススメです。茶色や白、黒や藍色といった色は和の雰囲気を出しつつも、現代の街並みにもよく馴染みます。彩度が高い色を使用するほど、和風な雰囲気からは離れていってしまいます。
和モダンにするならモノトーン
和風にしたいけれど純和風は抵抗がある、といった際は和モダンなデザインが適しています。モノトーンを基調とすることで、シックでスマートな印象を与えつつ和の雰囲気を演出することが可能です。
使用色ごとに和風デザインの成功例を見ていきましょう。
例① 1色だけの外壁
画像出典:ニチハ
ニチハのモエン大壁工法によって塗り壁の質感と、土の色を表現した外壁。新築でありながらも、1色に統一することによって貫禄を感じさせる仕上がりとなっています。
例② 2色使用した外壁
白と黒を使用したモノトーン和風デザインの住宅。瓦屋根とモノトーンの配色が統一感を高め、ゆったりとした落ち着いた雰囲気を与えています。
メインカラーは伝統色を使用する
外壁のもっとも大きな面積を占める色には白・黒・グレー・鳥子色などの伝統色を選びましょう。
和風な雰囲気には彩度が低い色味が必要であると前述しましたが、この要素を強めるには伝統色が最適なのです。
どうしても伝統色以外にしたいなら、くすみがかかったアースカラーマッチしやすいでしょう。
外壁の色や素材を決める前の注意点
和風なデザインを志向している・していないに関わらず、家の色やデザインを決定する前に確認しておきたいポイントを最後に解説します。
カラーシミュレーションで色を確かめる
塗料メーカーや外壁材メーカーのウェブサイトには、デザインのシミュレーションページが用意されています。
外壁の色や塗装デザインを最終決定する前に、シミュレーターで色や塗り分けのパターンをいろいろ試しておきましょう。
おすすめのカラーシミュレーターは、エスケー化研のウェブサイトにある「住まいの塗り替えシミュレーション」です。
その理由は、操作が分かりやすいこと、戸建ての形状や色の種類が豊富なことと、候補となる色が決まったあとに塗料の色番号が分かることです。
「カラーシミュレーション」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「調査してわかった!外壁カラーシミュレーションのおすすめ4選+α」
色見本はA4サイズのものを使う
塗料を選ぶ際に、施工店からは無料で冊子タイプのカラーサンプルがもらえると思います。
しかし、色の最終決定は冊子タイプのものではなく、A4大の「塗り板」と呼ばれるサンプルを取り寄せて、実際に屋外で見たり、自宅の壁に立て掛けて色の見え方をチェックしましょう。
塗り板は無料ではなく500~1,000円程度の料金がかかるのが通常で、取り寄せにも1週間前後かかるのが通常ですが、仕上がりに後悔しないためにも使うほうがオススメです。
ドアやサッシの色が変えられない場合も想定する
ドアや窓枠の塗装は、外壁塗装の工事には通常含まれていません。
サッシ等は外壁塗装時の養生の下に隠れてしまう部分であり、塗料も外壁と共通ではないため、同時に作業ができないからです。
玄関ドアやサッシの色が変えられることを前提に、プランを立てないほうがよいでしょう。
なお、サッシの塗装にかかる費用は1箇所につき3~6万円が目安で、作業期間も外壁と分ける必要があります。
そのような背景があるためか、ほとんどの方はサッシの色はそのままで住み続けます。
「アルミサッシの塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「塗装を長持ちさせる!アルミサッシの塗装は7つの工程を丁寧に」
塗装技術が高い業者に依頼する
外壁の色やデザインを決めただけではまだ半分。
実際におしゃれに仕上がるかどうかは、業者の腕にもかかっています。
腕が良くて信頼できる塗装業者に心当たりがない場合は、地域で3~4社ほどから相見積もりをとって、実際の業者と接してみるのが地道ながら有効です。
訪問した担当者の説明の分かりやすさ、質問や要望に対する対応力、担当者の人柄、工事費用など、対面でないと分からない要素を比べて、今後10年以上の家のデザインを託せる業者を見極めましょう。
なお、当記事の料金おためし計算ツール
を通して相見積もりをとることもできます。
フォームからお申し込みいただくメリットとして、あなたの地元ですでに実績のあるの優良業者を最初からご紹介できることと、選ばなかった業者への気まずい断りの連絡を当社が代わりに行います。
この記事が参考になったら、ぜひご利用いただけると幸いです。
まとめ
リフォームをイメージ通りに進めるには、そのイメージを支える要素を特定してとり入れることが重要です。
和風デザインの場合は、伝統色やモノトーン系の外壁カラーリングや、金属系サイディングや漆喰がその要素でした。
家の形状まではなかなか変えられないものですが、色や外壁材を気にするだけでもかなりモダンな住宅に近づくはずです。
リフォームや新築が望むデザインで成功することを、編集部一同お祈りいたします。