中古住宅に外壁塗装は必要?費用の相場や条件を解説

  • 【更新日】2025-01-29
中古住宅に外壁塗装は必要?費用の相場や条件を解説

外壁塗装は外観をきれいにしてくれるだけではありません。防水効果によって雨風の影響を抑えて、家屋の耐久性を維持してくれる役割を持っています。

特に前の居住者の履歴がわかりづらい中古住宅には実施するべき工事の1つです。

本記事では中古住宅において外壁塗装が必要な理由や、本当に必要かを判断するための基礎知識をご紹介します。

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外壁劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

中古住宅に外壁塗装が必要な理由

中古住宅でより長く、安心して暮らしたいのであれば外壁塗装は必要です。

住宅の外壁塗装を行うことで、防水効果を施すことができるからです。雨水が外壁の構造内へ浸透しないため、壁内部の骨組みが腐食しないようになります。

外壁塗装に使用されている塗料の耐久年数は、約10年から15年です。耐久年数を過ぎると防水効果が薄れ、雨漏りなどの原因になるうえ、放置すると家屋の耐久性が落ちてしまいます。そのため住宅における外壁塗装は10年に1度を目安に塗り替えを行うのが一般的です。

ただし、外壁材がレンガ・金属系サイディングボードの場合は、通常の塗装よりも耐水性が高く、雨水によって劣化しにくいため、20年に1回程度の頻度で済む場合もあります。

なお、中古住宅の場合は塗料の耐久年数が過ぎていたり、前の持ち主が外壁の塗り替えをしていなかったりといったケースがあります。後述する外壁の状態や塗料の耐久年数を確認したうえで、塗り替えを検討しましょう。

トラブルを回避!購入前に確認すべき3ポイント

これから購入する、もしくは購入した中古住宅に塗装の必要があるのか、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。購入前に外壁塗装がすぐに必要か確認しておかないと、予想外の出費がかさむトラブルにつながりかねません。以下では一般的に外壁塗装が必要となるタイミングについて解説します。

築年数

外壁塗装の塗り替えの周期は10年に1度が目安です。

新築時には必ず外壁塗装を行っているため、築年数を元に塗り替えのタイミングを計算しましょう。購入する中古住宅の築年数が10年以上であれば、外壁塗装を検討する必要があります。

外壁塗装歴

購入予定の中古住宅に外壁塗装歴があれば、外壁塗装が必要となるのは直近の塗装から約10年後となります。

ただし、使用した塗料の種類によっては10年未満となる場合もあるため、使用した塗料製品などを確認しましょう

各塗料の耐久年数については後述しているため、参考にしてください。

劣化状態

築年数や外壁塗装歴に関係なく、以下にあげた劣化状態の場合にも外壁塗装は必要です。

  • チョーキング
  • コケ
  • サビ
  • 色あせ
  • 塗装のはがれ
  • ひび割れ
  • 塗装の膨れ
  • 反り

 

上記した状態は塗料の劣化サインで、放置すると塗料の防水性や耐久性が失われ、外壁躯体の劣化に繋がります。

チョーキングとは、外壁を指で触ったときに粉が付く現象のことです。

塗料に含まれる合成樹脂が雨や紫外線で分解され、粉状になった顔料が塗装表面に浮き出てくるため、手に粉が付着します。

色あせは紫外線や酸性雨によって起こります。

塗料表面の塗膜が劣化し、防水性が低下した状態となるのです。

ひび割れは、外壁にクラック(ひび)が入った状態のことです。

クラックが入る原因には「経年劣化」「地震・振動」「施工不良」などがあります。

外壁塗装の傷は、主に台風などの強風で飛ばされた飛来物が壁にぶつかってできるものです。 サビは鉄が酸化してできるものです。

外壁塗装の防水性能が劣化していなければ発生しません

外壁にコケや藻が生えるのは外壁の含水量が増えたためで、外壁塗装の防水性能の劣化が原因といえます。

塗装の膨れには、以下の原因が考えられます。
  • 外壁塗装の傷から外壁と塗膜の間に雨水が侵入した
  • 溶剤系塗料が完全に乾燥していなかった
  • 下塗り材の塗りにムラがあった
  • 外壁に水分が残った状態で塗装をしてしまった
  • カビを綺麗に除去しないまま塗装をしてしまった

 

外壁塗装をする前に下準備をしっかりしておかなければ、塗装の劣化が早まってしまいます。

塗装のはがれは、経年劣化によって起こる場合と、施工ミスによって起こる場合があります。

経年劣化による塗装のはがれは、塗料の耐久年数を過ぎている証拠でもあり、外壁塗装が必要な状態を表しています。

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中古住宅購入時に外壁塗装をしておくとスムーズ

外壁塗装は中古住宅を購入後、住んでから外壁塗装を行うのではなく、中古住宅の購入時に外壁塗装をするのがおすすめです。以下では中古住宅購入時に外壁塗装をするメリットをご紹介します。

各種情報を確認しやすくなる

中古住宅の購入時であれば、外壁塗装に関する情報を確認しやすくなります。

外壁塗装は物件購入後でも実施できますが、必要な情報を揃えるのに手間がかかるため、購入のタイミングで書類確認や不動産会社への相談を行うのが最も手軽でスムーズです。

外壁塗装を実施する前には「外壁塗装歴」「住宅履歴情報」「建物状況調査」の3つを把握しておきましょう。

外壁塗装歴・・・いつ外壁塗装をしたのか、何回外壁塗装を行ったのかが分かります。 住宅履歴情報・・・住宅がどのような造り・性能があって、建築後にどのような点検や修繕が行われ、リフォームが実施されたのかといった内容が記録されています。 建物状況調査・・・国土交通省が定めた講習を修了した建築士が行う調査です。

塗料のニオイや窓の開け閉めを気にする必要がなくなる

外壁塗装工事は家の外周に足場を組み、窓に養生シートを貼って行われます。

住み始めてから外壁塗装工事をすると、足場や養生シートが窓の開閉を阻害してしまうため、気軽に開閉できなくなる恐れがあります。また工事期間中は職人が常に家の周りにいる状況になることも懸念点のひとつです。

さらに外壁塗装で使用される塗料には独特のニオイがあります。食事中など、普段の生活でニオイが気になってしまうこともあるため、中古住宅購入時には入居するタイミングと外壁工事が被らないように調整するのがおすすめです。

綺麗な外観の家で新生活を始められる

中古住宅を購入した時点で外壁塗装をしておけば、新築と見まがうほど綺麗な外観の家で、気分よく新生活を始められます

また使用する塗料によっては、10年以上メンテナンスの必要がありません。入居の時期とあわせることで、再塗装の時期を調整できることもメリットのひとつです。

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外壁塗装の相場

外壁塗装の相場は、外壁の面積や使用する塗料によって変わってきます。以下からは外壁塗装の相場について解説します。

塗装面積

外壁塗装の相場を計算するには、塗装する外壁の面積を知る必要があります。外壁面積は以下の計算式で面積を算出することができます。

塗装面積=延べ床面積 × 1.2

上記計算式の延べ床面積は「㎡」です。坪数しか分からない場合は、延べ床坪数 × 3.3で延べ床面積を算出できます。また、延べ床面積や各階の面積などは、図面や売買契約書でも確認可能です。

坪数による外壁塗装の相場

延べ坪数 延べ床面積(㎡) 塗装面積(㎡) 外壁塗装の相場
10 33 39.6 25万円~30万円
20 66 79.2 50万円~60万円
30 99 118.8 70万円~90万円
40 132 158.4 90万円~120万円
50 165 198 120万円~150万円
60 198 237.6 150万円~180万円
70 231 277.2 180万円~210万円
80 264 316.8 210万円~240万円
90 297 356.4 230万円~270万円
100 330 396 260万円~300万円

「外壁塗装の相場」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の費用相場は?坪数に応じた工事費用を把握しよう」

塗料

外壁塗装に使用する塗料には、シリコン系やウレタン系など、さまざまな種類があります。使用する塗料によって耐久年数や施工費が変わるほか、それぞれの塗料に特徴があるため、確認して選ぶようにしましょう。

塗料の耐久年数と1㎡当たりの相場

塗料の種類 耐久年数 相場 特徴
アクリル系塗料 4年~5年 1,400~1,600円/㎡ ・塗料の主成分がアクリル樹脂
・光沢があり発色がしやすい
・耐久年数が短く安価
・頻繁に塗り替えたい人向き
ウレタン系塗料 6年~8年 1,700~2,200円/㎡ ・主成分がウレタン樹脂
・柔らかく密着性に優れている
・弾力性もあるためどのような外壁とも相性がよい
・比較的安価
シリコン系塗料 10年~12年 2,300~3,000円/㎡ ・主成分がシリコン樹脂
・耐久年数と価格帯からコストパフォーマンスが高い
・現在の主流
・透湿性が高く結露も発生しにくい
フッ素系塗料 12年~15年 3,800~4,800円/㎡ ・主成分がフッ素樹脂
・耐熱性・耐寒性が高い
・酸性雨や紫外線にも強く、汚れが付着しても雨で流れ落ちる
無機塗料 20~30年 5,500円~6,500円 ・鉱物を主成分としている塗料
・外壁が汚れにくい
・塗料が硬いことからひび割れが発生しやすい
ラジカル塗料 12~16年 2,200円~4,000円 ・塗膜の劣化や変色を防止する「高耐候酸化チタン」や「光安定剤」が主成分
・チョーキング現象を抑制する
光触媒塗料 20~25年 3,800円~5,500円 ・酸化チタンの性質を利用した塗料
・太陽光に反応して付着した汚れを雨で洗い流すことができる「セルフクリーニング機能」
セラミック塗料 15~25年 2,300円~4,500円 ・セラミックが配合された塗料
・紫外線による色褪せに強い
・塗料が硬いことからひび割れが発生しやすい

費用を抑えるコツ

例えば、延べ坪数30坪の家を、現在主流のシリコン系樹脂で外壁塗装をした場合、以下のようになります。(1㎡単価は相場の平均値2,900円とします)

延べ床面積:30坪 × 3.3=99㎡

外壁面積:99㎡ × 1.2=118.8㎡

施工費:118.8㎡ × 2,900円=344,520円

延べ坪数30坪の家を外壁塗装する場合、約35万円もの費用がかかるということが分かります。

さらに、養生費や足場費・施工費・人件費などを加えると、70万円〜90万円程度にもなるため、以下のように可能な限り費用を抑える方法を検討しましょう。

①助成金や補助金を使う

主に省エネ効果のある塗料を使用した場合に支払われ、おおむね10万円~30万円ほどが給付されます。

自治体によって、助成金額や条件に違いがあるので、各地方自治体のHPで確認が必要です。

②リフォームローンを利用する

貯蓄がないという方にはおすすめですが、借り入れには条件があり、審査もあるため必ず融資を受けられるというものではありません。また、ローンのため返済義務もあります。

③外壁と一緒に屋根も塗装する

外壁と同じように、材質によっては屋根も塗装が必要です。外壁と屋根の塗装工事を別々に行う場合、足場費用を2回分支払うこととなり、約20万円ほどの損失になります。

しかし、屋根と外壁の塗装工事を一緒に行えば、足場費用を1回分に抑えられるため、費用が抑えられます。

④時期を選ぶ

梅雨の時期は施工を依頼する人が減るため、施工費を安くしてもらえる場合があります。

ただし、湿気が多い時期は施工に向いておらず、雨が降ると施工ができないため、工事が長引いてしまうというデメリットもあります。

その他、外壁塗装の費用を抑える方法としては、火災保険や住宅ローン減税の利用などがあります。ただしこちらは返済期間などが条件になるため、中古住宅の購入時には使用できません。

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中古住宅でも外壁塗装をしよう

これまでの解説で、中古住宅に外壁塗装が必要な理由を理解できたのではないでしょうか。

外壁の塗装はDIYできないため、必ず業者に依頼する必要があります。業者選びの際は「相場と差がある見積もり」「点検時間」「アフターケア」に注目しましょう。

中古住宅のすべてが同じ問題を抱えているわけではなく、必要となるメンテナンスは住宅によって違いがあります。

小さな塗装の膨れや剥がれを見つけるには、1時間以上の時間がかかるものです。しっかりと時間をかけて見積もりを出してくれる業者を選ぶようにしましょう。

また、外壁塗装の場合は塗料メーカーによる「メーカー保証」と、施工を行う業者の「工事保証」の2種類が発行される場合があります。

どちらも発行している業者で、保証期間が5年以上ある業者がおすすめです。ただし、中古住宅の場合は保証書が発行されないケースも多いため、事前に確認しておきましょう。

もし、業者選びにお悩みの場合は、「ヌリカエ」のご利用がおすすめです。ヌリカエでは優良業者の中から、相場や条件の比較・検討ができます。専門的な知識を持った相談員が対応しますので、外壁塗装に関しての知識がなくても安心です。