アポリテックってどんな塗料?効果や耐用年数は信用できる?

  • 【更新日】2024-09-11
アポリテックってどんな塗料?

あなたは今、外壁塗装の営業担当者に「アポリテック」という塗料を勧められていませんか?
本記事では、ご自宅の外壁塗装を検討中の方向けに

  • アポリテックの用途や性能
  • アポリテックの費用
  • アポリテックの評判、他の塗料と比べてどうか?

 

といった内容について、解説しています。

先に結論から言ってしまうと、アポリテック塗料に対する悪い評判やクレームはとくに見当たらず、取扱店の打ち出している価格・保証内容を見ても粗悪な塗料である可能性は低いと判断しました。

Point
  • アポリテックは、高耐久・高密着・高熱反射率をうたう多機能塗料
  • 費用は他社の同等耐用年数の塗料と比べ同程度~やや安いほど高くなる
  • 悪評がないこと、取扱店が価格を明示していることから粗悪製品である可能性は低いと推測

尚、こちらの記事での内容・価格・耐用年数は執筆時点の情報をもとに紹介しています。

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アポリテックとは?

「アポリテック」とはどのような塗料で、あなたの家の外壁塗装の目的に本当に向いている塗料なのでしょうか?
まずは、製品の基本特徴や用途について説明します。

高密着性により強い塗膜を形成

アポリテックの最大の特徴は、下地への付着強度が高いことです。
接着剤などに近い分子構造を塗料で実現し、より耐久性の高い塗膜が形成され、塗料の顔料(着色成分)も落ちにくく、色あせしにくくなります

また、高い密着性から大きな劣化がない外壁であれば下塗り材が不要なため、工程を省略でき塗装が安く、早く終わるのも大きな特徴です。

アポリテックの高密着性は、重りの吊り下げ実験により実証されています。

アポリテックの密着性の検証結果

画像出典:YouTube「アポリテックペイント 高密着塗料」(2022年10月24日閲覧)

アポリテックで貼り合わせて乾燥させた金ゴテと、一般塗料で貼り合わせた金ゴテに重りを吊り下げていった結果、一般塗料では約17kgの負荷で接着が剥がれたのに対し、アポリテックは約34kgの重りを吊り下げたまま密着を維持しました。

その他の性能・特徴

高密着性以外の特徴について、公式資料の説明をわかりやすく噛み砕いて紹介します。

遮熱性能

通常の塗料よりも高い効率で太陽熱を反射し、塗装した家の夏場の室温を低下させます。
一般に「遮熱塗料」と言われるものと同様の機能です。

「遮熱塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「遮熱塗料とは?メリット・デメリットや代表商品、使用がおすすめのケースを解説」

高耐候性

アポリテックは、紫外線を約3倍の力で反射させます(*)。
これより、紫外線が原因で引き起こされる退色やチョーキングなどの劣化現象を起こしにくくする効果が期待できます。

(*)Diverdyne株式会社「APOLITEC PAINT FINE」より

「チョーキング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「チョーキング現象とは?原因・対策、放置したらどうなるかを詳しく解説」

高弾性

アポリテックの弾性検証の様子

画像出典:YouTube「アポリテックペイント 弾性・防水型塗料」(2022年10月24日閲覧)

アポリテックは、通常の塗料よりも伸縮性(弾性)に優れます。
これにより、下地にひび割れが起こっても塗膜が割れにくくなり、防水性を長期間維持する効果が期待できます。

「弾性塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「弾性塗料って?工事前に必ず知っておきたい塗装の基礎知識!」

難燃性

 

画像出典:外壁塗装会社イロドリ株式会社

アポリテックに配合された無機成分の作用により、着火しづらく火事でも炎上・類焼しづらい効果が認められます。

水性

アポリテックは水性塗料なので、溶剤系塗料のような刺激臭がせず、有害物質も含みません。
そのため家庭にニオイに敏感な人がいたり、子供やペットがいる場合も安心して使うことができます。

「水性塗料の特徴」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「水性塗料と油性塗料の違いとメリット・デメリットは?」

耐用年数は公称20~30年

アポリテックの耐用年数は、製品ページに20~30年と明記されています。

アポリテックファインの公称耐用年数

画像出典:Diverdyne株式会社
「アポリテックペイントファイン」

標準的な外壁用塗料の耐用年数は8~12年、塗り替え周期は平均10年おきが目安と言われていますので、アポリテックの耐用年数は長いと言えます。

中小塗料メーカー「Diverdyne」の製品

アポリテックシリーズの塗料は、愛知県に本社を置くDiverdyne株式会社が開発・販売しています。
同社は、ナノテクノロジー分野の研究開発力を強みとし、自社での塗料開発のほかグローバル塗料メーカー・ナノフォス社の製品も輸入・販売しています。

オプション製品との混同に注意

「アポリテック」と名がついた中・上塗り材には、ここまで説明してきた「アポリテックファイン」のほかに、高断熱中塗り材の「アポリテックペイントダン」、光触媒コーティング材の「G-CAT」があります。どちらも単独では外壁塗料の働きはせず、アポリテックファインと組み合わせで使うオプション製品ですのでご注意ください。
本記事では、とくに断りがない限り「アポリテックファイン」塗料について解説しています。

「光触媒機能」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「光触媒塗料のメリット・デメリットは?代表商品の特徴・価格相場も解説」

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アポリテックの費用は高い?

外壁塗料の選択で、一番気になるのは「費用」かと思います。
ここでは、アポリテックをつかった塗装費用と、同等の耐用年数の他塗料の費用を比較してみましょう。

アポリテックの費用は「3,600円/㎡~」

アポリテックの設計価格(施工単価)は、メーカーの設計価格表から「3600円/㎡~」(下塗り含む)になります。

耐用年数20~30年の塗料の相場は「3,300~5,000円/㎡」

期待耐用年数が20~30年以上の外壁用塗料には、無機塗料というものがあります。
他メーカーからでている無機塗料の施工単価は1㎡あたり3,300~5,000円が相場です。

代表的な無機塗料の例

商品名 実勢価格 期待耐用年数
アプラウドシェラスターⅡ(日本ペイント) 3,800円/㎡~ 18~20年
スーパーセラタイトF(エスケー化研) 3,300円/㎡~ 18~22年
無機ガードZ(菊水化学工業) 3,600円/㎡~ 20年
タテイル2(プレマテックス) 4,000~5,000円/㎡ 30年

アポリテックの価格は「同等~ややお得」

アポリテックの費用目安が1㎡あたり「3,600円~」で公称耐用年数20~30年、他メーカーの無機塗料(ハイブリッド含む)が同「3,300~5,000円/㎡」で耐用年数18~30年ですから、アポリテックは他社の塗料に比べて同等~ややお得という結果になりました。

塗料の「費用÷耐用年数」の比較結果
塗料名 実勢価格 耐用年数 「施工費用÷耐用年数」
アポリテック 3,600円/㎡~ 20~30年 120~180円/年
アプラウドシェラスターⅡ 3,800円/㎡~ 18~20年 211~190円/年
スーパーセラタイトF 3,300円/㎡~ 18~22年 150~183円/年
無機ガードZ 3,600円/㎡~ 20年 180円/年
タテイル2 4,000~5,000円/㎡ 30年 133~166円/年

一般的な外壁塗装の総工費の目安は?

他の大手メーカー等の無機塗料を使った場合、外壁塗装の総工費は91~143万円が相場です。
費用の主な内訳は、足場代が15~20万円、目地のシーリングが5~15万円、外壁塗装の材工費が41~63万円、運搬費(諸経費)が5~13万円等です。

外壁塗装費用の内訳と単価・合計金額の一覧(目安)
内訳 単価相場 費用相場
足場代 750円/㎡ 15~20万円
養生代 250円/㎡ 3~6万円
高圧洗浄代 250円/㎡ 3~4万円
下地調整代 1,100円/㎡ 10~15万円
シーリング代 900円/m 10~15万円
塗装代(無機系3工程) 3,300~5,000円/㎡ 41~63万円
付帯部塗装 850円/㎡ 4~7万円
運搬費(諸経費) ここまでの5~10% 4.3~13万円
合計 91~143万円

※国内住宅地の平均的な「30坪・外壁面積125㎡」の一戸建ての場合

業者の告げてきた目安費用や受け取った見積もりとの比較にお役立てください。
なお、上記の金額は立地・地域・時期や選んだ塗料によって変動する場合があります。

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アポリテックを使用する際の注意

塗料の性能や特徴、他製品との比較結果をもとに、アポリテックの使用を決める前に注意すべき点を挙げました。

耐用年数はあくまで実験値

まずは、アポリテックに限らず長耐久をうたう塗料全般に当てはまる注意点です。

アポリテックは比較的新しい塗料であるためか、一般住宅に使われて20年、30年と経った実績は示されていない製品です。
そのため、実際の住居で期待どおりの年数を耐えられるかは、まだ確かめられていないと思われます。

実環境での実績や先行事例があるかどうかを重視する方には、あまり向いている塗料ではありません。
その場合は定番の汎用のシリコン樹脂塗料(耐用年数8~12年)や、フッ素樹脂塗料(同10~15年)などがおすすめです。

汎用のシリコン塗料、フッ素塗料について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「シリコン塗料って本当にいいの?おすすめ製品やメリット・デメリット、注意点を解説」
>>「フッ素塗料の特徴、費用対効果は? 高価でも「屋根」と「雨どい」にはフッ素が効く!」

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外壁塗装の契約時にはこれを確認!

施工業者の保証年数や内容を要確認

アポリテックに限らず、どんなに耐用年数が長い塗料でも塗装業者の施工保証は3~10年が期限なことがほとんどです。
保証年数や対応可能な症状は業者によってまちまちですので、後悔しないためにも塗装工事の契約前には保証内容をよく確認しましょう。

「外壁塗装の保証」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の保証が受けられる条件は?自分は保証対象?手続きはどうすればいい?」

業者の説明を鵜呑みにしない

訪問販売業者と交わした塗装契約について調査をしていたところ、外壁塗装の相場よりかなり高額な見積もりを提示されている相談が複数認められました。
いずれも、塗装費用の相場を知らないまま契約してしまっていたら、あとで後悔する可能性が高かったでしょう。

消費者生活センターへ寄せられるトラブル相談の多くは、自宅への訪問をきっかけに外壁塗装を契約したケースです。
悪質業者の常套句には、

  • 「別の工事で通りがかったら、お宅の外壁が傷んでいたので気になった」
  • 「地域のモデル工事として安くする」
  • 「近くで工事しているので、足場代を無料にできる」
  • 「この塗料は30年もつから結局は安くなる」

といったトークがあります。
悪徳対策のためのページではこういったセールストークの裏側にあるからくりも詳しく解説しています。

アポリテックを契約した施主の口コミや評判には悪質な事例は執筆時点で確認できませんでしたが、念を入れて事例や訪問者の話を鵜呑みにせず、親類・知人・インターネットなどの情報をもとに話の信憑性を確かめることを徹底してください。

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まとめ

アポリテックの試算価格や性能と、情報の少ない塗料を勧める訪問業者に悪質業者・割高な業者が紛れていることについてご説明しました。

メーカーのデータや信用するなら、機能やコストパフォーマンスは良好で、検討価値はあります。
また、塗料の試験成績や製品仕様も大手メーカー並に公開されており、調査していて信用を感じました。

一方、使用実績や口コミの少なさ、メーカーから設計価格が公表されていないことは不安が残ります。
塗装業者のすべてが悪質であるわけではありませんが、工事を契約する前には慎重になりましょう。

以下、当記事の要点を振り返ります。

アポリテックってどんな塗料?

Diverdyne株式会社というメーカーが開発販売している塗料で、下地との高い密着性からくる20~30年という長い耐用年数が特徴です。詳しく知りたい方はアポリテックとは?をご覧ください。

アポリテックの塗装費用は?

取扱店のプランもとに推測すると1㎡あたり3,400円~が実勢価格のようです。同程度の耐用年数をもつ塗料と比べてややお得です。詳しくはアポリテックの費用は高い?をご覧ください。

じゃあ、外壁塗装の一般的な費用相場は?

他メーカーの弾性塗料の材工費は「3,300~5,000円/㎡~」、足場代等を含めた外壁塗装の総工費は「91~143万円」が相場です。詳しくは外壁塗装の総工費の目安は?をご覧下さい。

結局、アポリテックはオススメなの?

使用者のクレームや後悔の口コミが見当たらないので、満足度が高いのか、相当新しい製品であるかのどちらかでしょう。先行実績のなさに納得でき、価格が相場におさまるようであれば、検討の価値はあると考えます。詳しくはアポリテックを使用する際の注意をご覧ください。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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こちらの記事をふまえたうえで、外壁塗装の塗料の基礎知識から知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【2022年最新】外壁塗装の塗料6種類の特徴・価格は?選び方と人気塗料ランキングも紹介」