弾性塗料とは?工事前に知っておきたい基礎知識や代表的な製品も解説

  • 【更新日】2024-10-07
弾性塗料とは?工事前に知っておきたい基礎知識や代表的な製品も解説

弾性塗料とは、ゴムのように伸び縮みする柔らかな性質をもつ塗料を指します。
他の塗料と比べると、伸縮性・弾力性・防水性が高く、ひび割れを防止できることが特徴です。
本記事では、弾性塗料を使用するメリットとデメリットのほか、注意点まで詳しく解説していきます。

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弾性塗料とは

弾性塗料とは、ゴムのように伸び縮みする高い弾力性を持つことが特徴の塗料です。

伸縮性・弾力性を持つことによって、ひび割れが起こった時も塗料がひびに追随するためひび割れを防止する・ひびからの雨水の侵入を防ぐことができるなどの魅力があります。

モルタルやコンクリートなどのひび割れが起きやすい外壁にとっては、非常に適した塗料と言えるでしょう。

しかし一方で工法をしっかりと守らないで塗ってしまうと、塗膜の一部が風船のように膨らんでしまうなどといった欠点もあります。

主にこのような施工の難易度の高さと塗膜が膨らんでしまうことが原因で、現在では昔ほど外壁に利用されなくなりました。

ただ昨今でも外壁の状況によって弾性塗料が塗料の選択肢になることはあるため、自宅がひび割れの起きやすい外壁の方や業者に弾性塗料を勧められた方は素直に検討してみると良いでしょう。

「弾性塗料」は塗料の固さを表している

弾性塗料はシリコン塗料やウレタン塗料といった原材料の種類を表す名称ではなく、塗料の堅さを表す名称です。

塗料の堅さを表す名称としては、弾性塗料を含めて大きく分けて以下の3種類があります。

種類 特徴
硬質塗料 一般的に使用される塗料
微弾性塗料 硬質塗料と弾性塗料の間の堅さを持つ塗料。伸び率は50~100% ※JISなどの厳密な規格で定められているわけではない。
弾性塗料 20度で伸び率120%以上の塗料。JIS規格で定められている。

原材料はシリコンやフッ素塗料

弾性塗料の原材料は従来から存在するシリコン系やポリウレタン系、フッ素系などの塗料です。

そこに柔軟性や弾性を与える可塑剤を加えることによって「弾性塗料」が作られています

したがって、製品によってシリコン系の弾性塗料やフッ素系の弾性塗料が存在することを理解しておきましょう。

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弾性塗料のデメリット

弾性塗料のデメリット
弾性塗料のデメリットは以下の通りです。

デメリット ・湿気をため込みやすく、塗膜が膨張しやすい
・耐用年数が約8〜12年と短い
・施工が難しい
・窯業系サイディングボードには不向き

湿気をため込みやすく、塗膜が膨張しやすい

弾性塗料の一番大きなデメリットは、塗膜が膨張しやすいことです。

弾性塗料は通気性が低いため、内側から外側へ空気を逃がすことができません。

そのため暑い夏場などになると塗膜の一部が風船のように膨らんでしまうことがあるのです。

膨らんでしまった外壁の塗膜

膨らんでしまった塗膜 /出典

一度膨らんでしまった塗膜は放っておいてももとに戻りません。

この膨らんでしまう症状が主な原因となり、現在では昔ほど弾性塗料が使われることは少なくなりました。

一方で昨今では通気性を高めた弾性塗料も販売・使用されているため、気になる方は業者に尋ねてみましょう。

「自宅の外壁がモルタルではない」「なるべく長持ちする塗料を使いたい」という方には、他の塗料を検討してみることがおすすめです。

弾性塗料以外の塗料について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

耐用年数が約8〜12年と短い

弾性塗料は8~12年と、耐用年数がやや短いことがデメリットと言えます。

耐用年数が短ければ短い期間で塗り替えが必要となるため、結果的に金銭的な負担は大きくなってしまいます。

ひび割れを防いで見栄えを良く保ってくれる弾性塗料ですが、耐用年数・金銭面を考慮して使用するかを判断することがおすすめと言えるでしょう。

施工が難しい

弾性塗料は先述の通り、通気性が低く、水分を通しにくいです。

そのため外壁の洗浄から塗装までの間の処理方法に不備があり水分が残ったままになると、すぐに施工不良につながってしまう恐れがあります。

弾性塗料の塗装には専門知識や職人の経験が必要不可欠です。

業者選びを慎重に行わなければならない点で、デメリットと言うことができます。

窯業系サイディングボードには不向き

サイディングボード
昨今で多く使用されている窯業系サイディングボードは安価で耐火性にも優れていますが、断熱材を含むため熱を吸収しやすい性質があります。

したがって窯業系サイディングボードと弾性塗料は相性が悪く、夏場にはボードが温まった際に塗料が膨張する可能性があるのです。

弾性塗料が膨れると壁にブクブクと泡のようなものが突き出し、見栄えが悪いうえに防水機能が損われてしまいます。

自宅の外壁に窯業系サイディングボードが使われている場合は、他の塗料を検討しましょう。
▼「窯業系サイディングボード」について詳しく知りたい方はコチラ
>> 窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!

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弾性塗料が膨らんでしまう原因

膨らんでしまった塗膜

膨らんでしまった塗膜 /出典

弾性塗料の特徴であり最大のデメリットと言えるのは、湿気をため込みやすく塗膜が膨れてしまう場合があることです。

弾性塗料が膨らんでしまう原因は主に次の3つと言われています。

弾性塗料が膨らんでしまう原因
  • 経年劣化による浸水
  • 塗装業者の施工不良
  • 外壁材との相性が悪い

それぞれについて、順番に解説していきます。

経年劣化による浸水

弾性塗料は8~12年と、やや短い耐用年数で劣化が生じます。

経年劣化が起こるとひび割れや剥がれが起こり、そこから雨水が侵入してしまうことが主な原因として挙げられます。

さらに浸水した水分は日光で温められて水蒸気を発生させ、塗膜を下から持ち上げる形で浮き上がらせてしまうのです。

通常の塗料であればそのまま塗膜が破れますが弾性塗料は塗料の性質から水がたまり続け、風船のように膨らんでしまうことになります。

塗装業者の施工不良

弾性塗料の膨れは塗料の性質上の問題だけでなく、業者の施工不良によっても起こります。

施工不良による膨れの原因となるのは以下のような場合です。

◆施工不良による弾性塗料が膨れてしまう要因◆
  • 下地の洗浄不足によるカビの発生
  • 下塗り材の塗り方が甘く、上塗りの塗料が密着しなかった
  • 下塗り塗料の乾燥不足で、水分が残ったまま塗装してしまった

弾性塗料は重ね塗りの工程が複雑のため、一般的に施工が難しいと言われています。

なるべく工期や人件費を抑えようとする悪徳業者などは十分な知識を持たずに塗装を行うことがあるため、上記のような要因から塗膜の膨れが起こることがあります。

塗装業者を選ぶ際には、しっかりと弾性塗料やひび割れ外壁の施工実績が豊富な業者を選ぶようにすることが大切です。

外壁材との相性が悪い

弾性塗料は、外壁材との相性が悪いと膨れてしまう原因となります。

例えば外壁材としてシェア率の高い窯業系サイディングは、紫外線などにより表面が高温になりやすいです。

したがって弾性塗料の塗膜も柔らかくなってしまったり、内部の水分が蒸発してしまうことにより膨らんでしまうことがあります。

弾性塗料の使用は主にモルタルやコンクリートといったひび割れやすい外壁に限定されるため、よく覚えておきましょう。

弾性塗料のメリット

弾性塗料のメリット
弾性塗料のメリットは以下の通りです。

メリット ・塗膜が破れづらく、ひび割れに強い
・防水性が高く、雨漏りしづらい
・害虫の侵入を防ぐ

それぞれについて、詳しく解説して行きます。

塗膜が破れづらく、ひび割れに強い

弾性塗料は塗膜が柔らかくゴムのような伸縮性があるため、たとえ外壁がひび割れてしまった場合でも塗料の弾力性でダメージを最小限に抑えてくれます。

一般的に外壁は車の通過による振動や地震、激しい寒暖差によってひび割れ・劣化が進みますが、弾性塗料はそれらに対して強い耐久性を備えています。

ひびの発生を抑えられることは外壁の耐久性をあげるほか見栄えの悪化を防ぐ効果もあるため、大きなメリットと言えるでしょう。

特にモルタルやコンクリートなどの外的要因でひび割れを起こしやすい外壁の場合は、弾性塗料が非常に適しているためおすすめです。

防水性が高く、雨漏りしづらい

弾性塗料は外壁にピッタリと密着する性質を持っているため、建物の防水機能を高める効果が期待できます。

さらに一般的な塗料に比べて厚めに塗られることが多いため、より雨水の侵入を防ぐことができ、防水性の向上につながります。

「降雨量の多い地域に住んでいて、雨漏りが心配…」という方にもおすすめと言えるでしょう。

害虫の侵入を防ぐ

前述のとおり、弾性塗料は壁にすき間なく密着する性質をもっているため、害虫の侵入を防いでくれます。

川沿いなどに住宅が位置しており虫の侵入にお困りの方や、そもそも虫が嫌いという方にも良い選択肢になると言えるでしょう。

▼「モルタル壁」について詳しく知りたい方はコチラ
>> モルタル壁の基本知識 | 時期・劣化のサイン・補修方法とは?

まとめ

弾性塗料の特徴や工法をはじめ、塗装業者の選び方などをご紹介しました。
正確なことは信頼できるプロの塗装業者に相談しないと分かりませんが、大まかにでも「弾性塗料はモルタル壁に向いている」「自力での塗装は難しい」といったことがご理解いただけたかと思います。
この記事を参考に、満足できる外壁塗装のリフォームを検討してみてください。

最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。

弾性塗料とはどんな塗料?

弾性塗料は他の塗料よりもひび割れに強く、塗膜が伸び縮みする性質をもつ塗料です。詳しく知りたい方は弾性塗料とはをご覧ください。

弾性塗料の工法とは?

弾性塗料の工法には、単層弾性工法・複層弾性工法・微弾性工法の3種類があります。

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