外壁リフォームの工事をお願いしたいけど、どんな方法があるのか、どれくらいの期間がかかるのか、いくらくらいかかるのかを知らない人は少なくありません。
本記事ではサイディングリフォームを検討している方へ、サイディングリフォームにある4種類や工事事例、サイディングの種類別のメンテナンスタイミングなどについて詳しく解説しています。
ぜひ、参考にしてください。
![]() |
監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
自宅に合ったサイディングリフォームの方法は?
ご自宅のサイディングボードのリフォームを検討されている方は「どうやってリフォームするのがいいのかな?」とお悩みの方も多いかと思います。
そこで本記事では、4つのリフォーム方法について、その詳細と劣化症状ごとに最適な方法について詳しく解説します。
サイディングのリフォーム方法は4種類!
サイディングリフォームと一口にいっても、その方法は4種類あります。
以下は、4種類ある方法とその工事内容を簡単にまとめたものです。
リフォーム方法 | 工事内容 | 金額 |
---|---|---|
部分補修 | 外壁の継ぎ目にあるシーリング交換やさび取り、 部分塗装でリフォームする方法。 4種類あるリフォーム方法のなかでは最も簡単。 |
10万円~80万円 |
塗装 | サイディングボードを塗装でリフォームする方法。 | 60万円~130万円 |
重ね張り(カバー工法) | 既存のサイディングボードの上から、 新しい外壁を重ねるリフォーム方法。 張り替えより費用が安く、工期も短い。 |
150万円~200万円 |
張り替え | 既存のサイディングボードを剥がして 新しい外壁を張るリフォーム方法。 重ね張りよりも費用がかかるが、 外壁内部の劣化も同時に補修できる。 |
200万円~250万円 |
どの方法がリフォーム最適なのかは、サイディングボードの劣化状況により異なります。また、重ね張りや張り替えの場合は、200万円以上かかるケースもあるので、費用についても把握しておく必要があるでしょう。
まずは、劣化状況ごとに4種類あるリフォーム方法のうちどれが最適かをご紹介します。どのようにサイディングリフォームをするかを考える際の参考になれば幸いです。
シーリングの劣化:部分補修
サイディングとサイディングの間には、上記画像のようなシーリングがあります。シーリングの劣化を放置すると外壁内部に雨水や汚れが侵入してしまうため、定期的な交換が必要です。
シーリングが劣化すると、下記の写真のように表面が乾きひび割れが目立ってきます。また、シーリング自体が縮むため全体的に肉薄になることが特徴です。
【劣化したシーリング】
このようなシーリングの劣化は、部分補修でリフォームします。部分補修は、「建物の外壁のつなぎ目」や「外壁表面の一部分の剥がれ」などを補修する工事です。外壁同士や外壁と窓サッシなどのつなぎ目を埋めるシーリング工事や、外壁表面にできた錆び落としや部分塗装などがこれにあたります。
部分補修の費用は、10万円未満で済むことも多く、リフォーム方法のなかで最も簡単なものとなります。比較的軽度な劣化への対処や美観保持のために行われるため、DIYで部分補修をする方も多いです。
軽度なひび割れ:部分補修
出典:外壁塗装の達人
サイディングボードでは、写真のような薄いひび割れが発生していることがあります。このようなあまり目立たないひび割れ(幅1mm未満)を「ヘアークラック」といいます。
ヘアークラックは塗膜がひび割れている状態で、サイディングボード自体がひび割れているわけではありません。そのため、部分補修もしくは塗装が最適なリフォームとなります。
ただし、後述する幅3mm以上のひび割れ(構造クラック)が発生している場合、外壁自体がひび割れている可能性が高いため、重ね張りか張り替えが必要になりでしょう。
チョーキング現象:塗装
「チョーキング現象」とは、外壁を手でこすったときに白い粉がつく現象のことです。チョーキング現象を放置すると、塗装が剥がれやすくなり雨水が直接外壁材に染み込みやすくなります。
【チョーキング現象が出た外壁】
「チョーキング現象」は、塗装でのリフォームが最適です。次章でもご紹介しますが、軽微なひび割れや塗装剥がれがサイディング全体にある場合にも塗装が必要になるでしょう。
塗装工事の費用の相場は60万円~130万円、屋根も塗装する場合は70万円~160万円ほどかかります。費用は外壁面積や塗料によって大きく変わることに注意してください。
◆「サイディングに塗装は必要ない」は嘘!?◆
「サイディングに塗装は必要ない」とも言われていますが、この情報は正確ではありません。サイディングであっても劣化は進行するため、塗装によってメンテナンスを行う必要があるからです。劣化症状を放置してしまうと、建物内部の劣化も進行してしまうので注意が必要です。
塗膜の剥がれ・変色:塗装
出典:加藤塗装
サイディングビードにできた塗膜の剥がれや変色なども、塗装でのリフォームが最適です。
塗装は外壁を保護する役割がありますが、剥がれや変色が起きているということは塗装が機能していない状態です。そのため、放置しておくと外壁内部にダメージが蓄積してしまいます。
そのため、これらの劣化症状が起きた場合はなるべく早く塗装などのリフォームを検討するようにしましょう。
外壁の浮き・反り・剥がれ:張り替えか重ね張り
サイディングボードの浮きや反り、剥がれが発生している場合、外壁の劣化がかなり進んでいる状況です。
これらの劣化症状がある場合は、部分補修や塗装での対応が難しくなります。そのため、新しい外壁を張る重ね張りか張り替えでのリフォームとなるでしょう。
重ね張りか張り替えのどちらが最適なのかは、外壁内部にある下地の劣化状況によって異なります。下地の劣化が激しい場合は張り替えが必要です。
重ね張り(カバー工法)とは、現在使用している外壁の上から新しい外壁材を重ね張りする工法のことです。
新しい外壁材を上から貼り付けるだけなので、工事期間が短かったり廃材の処理費用が発生しない、遮音性と断熱性が向上するなどのメリットがあります。
重ね張り工事の費用は150万円~290万円です。使う外壁材によって費用は大きく変わります。
一方の張り替えとは、現在使用しているサイディング材を取り除き、新しいサイディング材を設置する方法です。外装の下地の劣化症状が激しい場合や腐食している場合などには、張り替えが必要です。
張り替え工事を実施することで、下地を補修できるのはもちろんのこと、見逃しやすい外壁内部の劣化症状もまるごと交換できるのがメリットです。
張り替えを実施する場合の費用の目安は、180万円~250万円となります。既存の外壁の処分費用などがかかるため、リフォーム費用は重ね張りより高額になります。
幅3㎜以上のひび割れ:張り替えか重ね張り
出典:リペイント匠
先ほどご紹介した軽微なひび割れ(幅1mm未満)では部分補修か塗装で問題ありませんでしたが、幅3mm以上のひび割れでは張り替えか重ね張りをする必要があります。
幅3mm以上のひび割れは「構造クラック」と言われ、その名の通り外壁自体に発生したひび割れとなります。そのため、外壁を新しくする張り替え、重ね張りでなければ対処できません。
【方法別】サイディングリフォームの事例
ここまで、サイディング外壁におけるリフォーム方法を4つご紹介しました。
では、実際にそれぞれの方法でリフォームをするとどのような感じになるのでしょうか。
本章では、塗装・重ね張り・張り替えそれぞれのリフォームを行った事例をご紹介しますので、実際にご自宅のサイディング外壁のリフォームについて考えるときの参考になれば幸いです。
サイディングを塗装でリフォームした事例
ここでは、サイディング外壁を塗装でリフォームしたした住宅の事例を3つご紹介します。
【事例①】
所在地 | 神奈川県横浜市南区 |
---|---|
施工内容 | 外壁塗装 |
施工費用 | 149万円 |
施工日数 | 15日 |
依頼先業者 | 地域工務店 |
【事例②】
所在地 | 栃木県小山市 |
---|---|
施工内容 | 外壁塗装 |
施工費用 | 199万円 |
施工日数 | 4週間 |
依頼先業者 | 地域工務店 |
【事例③】
所在地 | 宮城県宮城郡利府町 |
---|---|
施工内容 | 外壁塗装 |
施工費用 | 299万円 |
施工日数 | 4週間 |
依頼先業者 | 地域工務店 |
サイディングを重ね張り(カバー工法)でリフォームした事例
ここでは、サイディング外壁を重ね張り(カバー工法)でリフォームをした住宅の事例を3つご紹介します。
【事例①】
所在地 | 愛知県江南市 |
---|---|
施工内容 | 外壁カバー工法 |
施工費用 | 300万円 |
施工日数 | 60日 |
依頼先業者 | 地域工務店 |
【事例②】
所在地 | 神奈川県横浜市西区 |
---|---|
施工内容 | 外壁カバー工法 |
施工費用 | 199万円 |
施工日数 | 37日 |
依頼先業者 | 地域工務店 |
【事例③】
所在地 | 宮城県遠田郡美里町 |
---|---|
施工内容 | 外壁カバー工法 |
施工費用 | 499万円 |
施工日数 | 64日 |
依頼先業者 | 地域工務店 |
サイディングを張り替えでリフォームした事例
ここでは、サイディング外壁を張り替えでリフォームしたした住宅の事例を2つご紹介します。
【事例①】
施工前 | 施工後 |
---|---|
![]()
|
![]()
|
【事例②】
施工前 | 施工後 |
---|---|
![]()
|
![]()
|
北海道にある戸建てにて、モルタル外壁を金属サイディングにリフォームした事例です。
ホワイトからグレーのサイディング外壁になり、シックな印象に仕上がっています。
サイディング材の特徴とほかの外壁材との違い
サイディング材はほかの外壁材よりも人気が高く、デザインも素材・色・柄などが豊富なことが特徴です。
さらに材料費や施工費が安く、軽量のため耐震性も高いことも特徴として挙げられます。
施工費が安い理由は工場であらかじめ施工されたものであるためです。モルタルなどの外壁材は現場で職人が原料から手作りするため、施工費が高くなります。
サイディング材とほかの外壁材の違いについては、以下の表の通りです。
外壁材の種類 | 特徴 | デザイン | 耐久性 | 価格 | メンテンナス頻度 |
---|---|---|---|---|---|
サイディング | 外壁材の中でシェアNo.1。機能性や価格面から多く選ばれており、現在の新築物件ではサイディングがほとんど | 洋風、和風、モダン、スタイリッシュなど | ○ | 約3,500~6,000円 | 約7~15年 |
モルタル | 水、セメント、砂を混ぜあわせた素材で職人の手によって塗り上げられる。注文住宅などでの利用が多い | 重厚感 | △ | 約1,500~4,000円 | 約5~10年 |
タイル | 粘土を主成分とした原料を高温で焼き固めたもの。耐久性に優れ、汚れにくく、雨の影響も受けにくい | 高級感 | ◎ | 約7,000~9,000円 | 約10~15年 |
ALC | ケイ酸質、石灰質、アルミニウム粉末を主原料とし、高温高圧で蒸気養生された軽量気泡コンクリートパネル。耐火性や断熱性に優れている | 無機質 | ◎ | 約7,000~15,000円 | 約10~15年 |
サイディングとほかの外壁材との比較は、以下の記事にも詳細を解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
サイディング材のメリット・デメリット
サイディング材のメリット・デメリットは以下の通りです。
サイディング材のメリット
1.耐久性が高い
2.デザイン性が豊富
3.施工期間が短い
サイディング材のデメリット
1.定期的なメンテンナスが必要
2.コーキング材の劣化がしやすい
3.塗膜が劣化すると水分を吸収しやすい
サイディング材のメリット
サイディング材は工場で大量に生産される素材のため、品質が安定し、低コストである特徴があります。
すでに工場で完成された素材を利用するため、施工期も短く済みます。また、地震や火災などの災害に強く、耐久性は約40年とほかの外壁材よりも長いのも魅力的です。
-
デザイン性も豊富なため和風から洋風まで、幅広い住宅に対応が可能です!
サイディング材のデメリット
サイディング材は防水性がないため、表面を塗装して仕上げる施工方法になります。塗装が剥がれると水分を吸収しやすくなり、劣化が進行するため、約10年に一度のメンテナンスは必須になります。
さらに建物のつなぎ目を埋めるコーキング材も劣化しやすく、定期的なメンテナンス必要なため、ほかの外壁材よりもメンテナンスコストがかかる場合があります。
-
劣化を放置すると大規模なリフォームが必要となるため、定期的なメンテナンス費用を行う方がコストは安く済みます。
サイディング材の種類とメンテナンスのタイミング
サイディング材には「窯業系サイディング」「金属サイディング」「樹脂系サイディング」「木質系サイディング」の4種類があります。
それぞれの種類とメンテナンスタイミングについて解説していきます。
窯業系サイディング
窯業系サイディングとは日本の住宅の約8割で利用されているサイディング材です。
耐火性が高くデザインも豊富なことから、好みに合わせたリフォームを実現できます。
さらに大量に生産できるサイディング材のため、材料費もほかのサイディング材と比較して安くなることがほとんどです。
窯業系サイディングの耐用年数は20~40年程度が目安となっています。しかし、その間も劣化は進行していくため、最低でも10年に一度のペースで塗装やコーキングなどのメンテナンスを行うことが推奨されています。
窯業系サイディングについての詳細は、以下の記事にまとめていますので、あわせて確認してみてください。
金属サイディング
金属サイディングとは、文字通り金属製の外壁パネル材のことです。非常に軽量なのが特徴で、建物への負荷を抑えられるのが特徴になります。
ガルバリウム鋼板、トタン、ステンレス鋼板などの種類が展開されており、デザインや機能性が異なるため、自宅の状況に合わせて選定することが大切になります。耐用年数も「ガルバリウム鋼板:30~35年」「トタン:20~25年」「ステンレス鋼板:約50年」と開きがあります。また、メンテンナス頻度は10~15年に一度のペースで行うことが推奨されているため、あわせて実施を行うことが必要です。
金属サイディングについての詳細は、以下の記事にまとめていますので、あわせて確認してみてください。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングとは、北米で高い人気を誇るサイディング材のことです。
カナダでは60%、アメリカでも40%のシェアがあり、耐久性が高いのが特徴になりなます。塩害や冷害に強いため、日本でも北海道などでは導入が広まっています。
さらにほかのサイディング材と比較すると、メンテンナスがほとんど不要なのもメリットです。
樹脂系サイディングの耐用年数は約20~50年とされており、メンテナンスも汚れが見えてきたら軽く清掃するのみで十分とされています。
木質系サイディング
木質系サイディングとは、天然木に塗装を施し、木の質感を活かしたサイディング材のことです。
デザイン性が高く、ほかのサイディング材では表現できない外壁になるため、デザインを重視したい人にはおすすめです。一方で防火性や防水性はほかのサイディング材と比較すると劣り、腐食の進行も早くなる傾向にあるため、メンテナンス頻度は多くなります。
木質系サイディングの耐用年数は約15~40年とされており、メンテンナス頻度は約3~10年に一度が推奨されています。
サイディングリフォーム業者の探し方
サイディングには素材やデザイン・工法が数多くあり、リフォームプランを決めるのは大変です。
そこで、経験豊富で信頼のおける業者を探すことが重要になります。
あなたの希望するリフォームの上手に進めてくれる業者を見つけるには、相見積もりの取得が有効です。
相見積もりにより、
- 自分の場合の適正費用が見えてくる
- 応対の態度も比べられる
- 値段の高すぎる業者がわかる、避けられる
といったメリットがあります。

見積もりを頼める業者にあまり心当たりがない…という方は、全国の優良業者の情報をもつサイディング工事に関する無料の相談窓口 へお気軽にお問い合わせください。
サイディング工事の進め方や、あなたのケースにあわせた適正価格についてもご相談が可能です。
サイディングリフォームについてまとめ
サイディングは家のイメージや雰囲気を決める大切な外壁材です。
外壁の劣化症状が激しい場合には、早急にサイディングリフォームを検討するとよいでしょう。
現在利用しているサイディング材の種類によって、検討するタイミングも変わってきます。
また、どのサイディング材にするかによっても機能性は異なってきますので、業者と相談しながら最適なサイディングリフォームにつなげてみてください。
- 菊池克弘『住宅リフォーム重要事項32選』都市環境建設 2015
- 建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2022年度版』一般社団法人経済調査会 2021
- みんなの建材倶楽部『使える!!内外装活用シート 2016-2017』エクスナレッジ 2016
- 田村誠邦・甲田珠子『プロのための住宅・不動産の新常識』エクスナレッジ 2019