新築から30~40年以上経っていれば、外壁の張り替えのタイミングです。目に見えた劣化が無くても、内部の劣化が進んでいる可能性が高く、さらに住宅の寿命を縮めることになります。
本記事では、ご自宅の外壁サイディングの張り替え工事をはじめて検討中の方に向けて、
- サイディング張り替えのメリットとデメリット
- サイディング張り替えをするべき症状と時期
- サイディング張り替えにかかる費用相場
について解説を行います。
他の工事方法についても比較情報を紹介しているので、工事方法を検討中の方はぜひ参考にしてください。
サイディングの張り替え工事のメリット・デメリット
サイディング張り替え工事のメリット・デメリット両面についてご説明します。
サイディング張り替えのメリット
サイディングを張り替えるメリットは大きく2つです。
劣化・異常の根本解決になる
張り替え工事では外壁を一度すべて剥がすため、外壁の内側の劣化を発見・修理できます。
内部をみてトラブルがある場合は直すことができるので、築年数が長いほど張り替え工事が適しています。
次のメンテナンスまでの期間が長くなる
張り替えは新品の壁にするのと同様なので、次のメンテナンス工事が最も先になるのもメリットです。
選択する外壁材にもよりますが、張り替え後10~15年間もメンテナンスをする必要がなくなり、結果的としてコストパフォーマンスが向上します。
「外壁のメンテナンス」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
外壁材ごとにメンテナンスをするべき時期を解説!
サイディング張り替えのデメリット
サイディングを張り替えるデメリットは2つです。
他の工法と比較し、費用が高い
張り替え工事は、外壁工事のなかでも規模が大きく工事の費用はもっとも高額になります。
もし外壁にアスベスト(石綿)入の建材が使われていた場合、特別な処理作業が必要になるため、費用が20万円以上追加でかかります。
※2005年以降に建てた家であれば、アスベストが使われている心配はありません。
工事期間が長い
張り替えは既存の外壁の解体を含む大規模な工事なので、費用と同様に所要日数も長くなります。
所要日数が長くかかることで、工事中の生活が不便になってしまいます。状況によっては、室外機まで養生をしなければならないケースもあり、夏場に工事を検討している方は施工時期をずらすなど検討をするべきでしょう。
「張り替え工事の工事期間」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
外壁張り替えの基礎知識。費用・時期・他の工事と価格差
サイディングの張り替えタイミング
外壁工事をしないといけない状態であるものの、本当に「張り替え」が必要なのか?重ね張りや塗装で済ませることはできないのか?
こうした疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
ここからは、サイディングに張り替えが必要なタイミングについて、外壁材の耐用年数と、生じている劣化症状から解説をします。
サイディングの張り替え時期は「築30年以上」
新築から30~40年以上経っていれば、外壁の張り替えのタイミングです。本来、サイディングの寿命は30~40年が目安です。30~40年経過している外壁ならば、外見上は問題がなくても内部が劣化がはじまっていることが多く、10年ごとを目安に専門業者の定期的なメンテナンスが必要です。
内部の劣化を放置しておくと、家の骨組みがもろくなってしまい、最終的にかかるメンテナンスコストが高くつく可能性があります。
サイディングの張り替えが必要な症状
ご自宅のサイディング外壁に下記のような症状が現れた場合は、築年数に関わらずプロによるチェック・メンテナンスを受けることをおすすめします。
サイディングの全体張り替えが必要なサインをご紹介します。
広範囲の剥がれ
外壁が全体的に剥がれている場合は、寿命がすでに過ぎたまま住み続けてしまっている可能性があります。
建物の構造体まで腐食してしまう前に、早急に業者の診断を受け、工事を行いましょう。
反り・浮き
サイディングに反り・浮きが起こっている場合は、早急に一部分ないし全体の張り替えが必要です。
サイディングの反りかえりの原因は、浸水による膨張と乾燥による収縮を長期間繰り返すうちに、ゆがみが起こったことです。
放置すると、すき間から外壁内部まで浸水してしまうため、早急に業者の診断を受け、修理を検討しましょう。
サイディング張り替えの費用相場
サイディング張り替え時の費用相場は190万円~290万円です。
費目 | 施工単価 | 金額 |
---|---|---|
足場代 | 670~1,010円/㎡ | 17~26万円 |
養生シート代 | 300~490円/㎡ | 8~12万円 |
既存外壁の解体 | 1,100~1,740円/㎡ | 14~22万円 |
土台:透湿防水シート | 280~440円/㎡ | 4~6万円 |
土台:胴縁 | 1,200~1,800円/m | 15~23万円 |
土台:水切り板金 | 1,330~2,000円/㎡ | 4~7万円 |
外壁材:窯業系サイディング | 7,000~9,000円/㎡ | 87~112万円 |
シーリング | 640~970円/m | 20~31万円 |
運搬費・諸経費 | 工事費の5~10% | 8~24万円 |
消費税 | 工事費の10% | 16~26万円 |
合計 | 190~290万円 |
もっとも安い場合で190万円、もっとも高い場合で、290万円と開きが出ている理由は、工事をする時期や、都道府県、業者によって、施工単価が変動するためです。
平均的な目安の金額を知りたいという方は、240万円程度と想定しておくとよいでしょう。
ここからはより踏み込んで、使用される外壁材の種類毎に張り替え工事にかかる費用を紹介をします。
一般的な30坪の住宅をもとにした費用と外壁材の特徴も合わせて紹介しますので、どんな外壁材に張り替え工事をするかを考える際の検討材料として活用してください。
窯業系サイディング張り替え工事の費用相場
[ 画像出典:旭トステム ]
一般的な30坪の住宅での工事費用の相場は、240万円が目安です。
窯業系サイディングとは?
窯業系サイディングは、セメントを主原料とした外壁材です。
大きな窯を使って製造されるので「窯業系(ようぎょうけい)」と呼ばれています。
日本の住宅の外壁ではもっとも多く使われている素材で、シェアは約7割と言われています。
▼「窯業系サイディング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!
金属系サイディング張り替え工事の費用相場
[ 画像出典:旭トステム ]
一般的な30坪の住宅での工事費用の相場は、270万円が目安です。
金属系サイディングとは?
金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板やアルミなど表面材の下に断熱材を張り合わせた素材です。
シェアは窯業系サイディングの次に高く、日本の住宅の約10%に使われています。
▼「金属系サイディング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>金属サイディングとは?選び方と人気製品、基本情報を紹介!
タイル張り替え工事の費用相場
[ 画像出典:旭トステム ]
一般的な30坪の住宅での工事費用の相場は、270万円が目安です。
タイルとは?
タイルは、板状の石や粘土を高温で焼き固めて作った素材です。
他の素材では出せない立体感や風合いがあり、耐久性が高いのが特徴です。
▼「タイル」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁タイルの種類とデザインまとめ。メーカー別おすすめ製品も紹介
ALCパネル張り替え工事の費用相場

一般的な30坪の住宅での工事費用の相場は、280万円が目安です。
ALCパネルとは?
ALCパネルとは、コンクリートの内部に無数の気泡を含ませて軽量化した素材です。
耐火性と断熱性に優れていますが、水分に弱い特徴もあります。
▼「ALCパネル」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!ALCパネルとはどんな外壁材?特徴・デザイン・費用・他の外壁材との違いを解説
サイディング張り替え工事にかかる費用の注意点
サイディングの張り替えは、既存外壁を撤去して新しいものに変える、とても大掛かりで費用のかかる工事です。
張り替え工事ならではの費用の注意点として「既存外壁の解体費用」がかかることには留意をしておきましょう。
既存外壁の解体費用の施工単価は、1,100~1,740円/㎡で、30坪の住宅の場合で14~22万円もかかります。
サイディングの張り替え工事をやる方は、本当に張り替え工事をやるべきかどうかを念入りに検討したうえで、施工計画を立ててください。
サイディング工事をやるべきかどうかの判断材料としては、「サイディングの張り替え工事のメリット・デメリット」、「サイディングの張り替えタイミング」でも詳しく解説しております。
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サイディングの張り替えは費用がかかる工事ですが、費用を抑える方法があります。
- 外壁塗装助成金を利用する
- 外壁塗装ローンを活用する
- 相見積もりを取る
外壁塗装助成金を利用した場合は、工事費用の10~20%の補助を受け取れる可能性があります。
劣化症状が重くなる前に工事を行うことで、工事にかかる費用総額を抑えたいという方は、外壁塗装ローンを活用するという方法も、効果的です。 -
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自分自身の希望する施工条件、お住いの地域ごとに詳細な費用相場をお聞きになりたい方は、下記の料金診断ツールをご利用ください。
サイディング張り替えとカバー工法・塗装の違い
サイディング含む外壁材の工事方法には、張り替えの他にカバー工法、塗装も存在しています。作業内容や効果がよく似ている「張り替え」と、「カバー工法」ですが、工事を比較すると以下のような違いがあります。
工事内容 | 費用 | 工期 | 内部の劣化 | 施工可能なサイディング |
---|---|---|---|---|
張り替え | 180~280万円 | 15~23日間 | 発見可 | 制限なし |
カバー工法 | 100~150万円 | 14日間 | 発見不可 | 金属系サイディング |
塗装 | 50~70万円 | 7日間 | 発見不可 | 制限なし |
サイディング張り替えと他の工事方法の違いについて、工事期間や費用、また各工法が向いている方の特徴について比較しながら解説します。
重ね張り(カバー工法)の費用相場は100~150万円
サイディングの重ね張りとは、今ある外壁材の上から、新しいサイディングを貼り付ける工事で「カバー工法」と呼ばれています。
工事期間は2週間ほどで、費用相場は100~150万円です。
既存の外壁材を撤去作業が発生しないため、張り替えと比較して工事費用を安く抑えながら外壁の見栄えを新しくできるのがメリットです。
また工期も短いため、リフォームを早く済ませることができます。
そのかわりに外壁材の内側の劣化が発見ができないため、異常があっても放置されてしまうリスクがあります。さらに、その後のメンテナンスについては高額になることにも留意しておきましょう。
▼「重ね張り」について詳しく知りたい方はコチラ
塗装工事の費用相場は50~70万円
塗装は修理というよりも定期的なメンテナンスにあたる工事で、サイディングに浮きや大きなヒビなどがある場合の修理にはなりません。
費用を大幅に抑えることができますが、劣化症状によっては修繕の意味をなさないため注意しましょう。
▼「サイディング塗装」について詳しく知りたい方はコチラ
▼「サイディングメンテンナンス」について詳しく知りたい方はコチラ
サイディング張り替え工事の費用相場は180~280万円
サイディング張り替え工事では既存のサイディング材をすべて剥がした後、新しいサイディングなどの外壁材を張り付けます。
約2~3週間ほどの工事期間を要する、外壁工事の中では大がかりな工法です。
費用は掛かりますが、サイディングの張り替えにより寿命が来ていたり、異常が起こっている外壁をリセットして、同じ家により長く住み続けることができます。
好みのデザインや外壁材に変えることができる点が、カバー工法とのもっとも大きな違いになります。
▼「サイディングの種類と特徴」について詳しく知りたい方はコチラ
▼「外壁リフォーム」について詳しく知りたい方はコチラ
記事のおさらい
サイディング張り替えのメリットは?
サイディング張り替えのメリットは、「劣化・異常の根本解決になる」「次のメンテナンスまでの期間が長くなる」の2つです。詳しく知りたい方はサイディング張り替えのメリットをご覧ください。
サイディング張り替えのデメリットは?
サイディング張り替えのデメリットは、「他の工法と比較し、費用が高い」「工事期間が長い」の2つです。詳しくはサイディング張り替えのデメリットをご覧ください。
サイディング張り替えの費用相場はいくら?
使用する外壁材によりますが、240万円がサイディング張り替えにかかる費用相場の目安です。詳しくはサイディング張り替えの費用相場をご覧下さい。
サイディング張り替えのタイミングはいつ?
サイディング張り替えのタイミングは、新築から30~40年の経過が目安です。築年数に関わらず、「剥がれ」「反り・浮き」といった劣化症状が出ている場合も張り替え工事が必要になります。詳しくはサイディング張り替えのタイミングをご覧ください。
以上、本記事があなたのご自宅のサイディング張り替え工事の検討に役立てば大変幸いです。