「2液ウレタン塗料ってなにに使う塗料?」「2液ウレタンにはどんな種類があるの?」
この記事をご覧の方には、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、ウレタン塗料での塗装をお考えの方に「2液ウレタン塗料の定義」「2液ウレタン塗料のメリット・デメリット」「2液ウレタン塗料のおすすめ商品」「2液ウレタン塗料の塗装方法」などを解説します。
「ウレタン塗料」について基本から知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ウレタン塗装は何にするもの?塗料の特徴と塗装できるものを詳しく解説」
2液ウレタン塗料とは?
2液型ウレタン塗料とは、ウレタン塗料のうち、着色成分やウレタン樹脂などが含まれる「主剤」と、主剤を固まらせるための「硬化剤」に分かれている塗料です。ふたつの液体から構成される塗料なので、「2液型」という名前がついています。
2液型塗料は、塗装作業の直前に主剤と硬化剤を混ぜ合わせ、さらに水やシンナーで希釈をしてから使用されます。
2液型塗料の主剤だけを塗り拡げても、固まることはありません。
もともと塗料はすべて2液型でしたが、最近では主剤と硬化剤が一緒になった1液型ウレタン塗料も登場しています。
コラム:塗料の分類の種類と性能の違い
塗料の分類には、「1液型・2液型」のほかにも以下のようなものがあり、塗料の耐久性や色、さまざまな機能の有無などをあらわしています。
分類 | 例 | 関係する成分 |
---|---|---|
「樹脂」 | ウレタン、シリコン、フッ素など | 合成樹脂 |
「水性・油性」 | 水系、弱溶剤系、溶剤系など | 水・溶剤 |
「色」 | 白、グレー、ベージュ、クリアなど | 顔料 |
「光沢」 | ツヤあり、3分ツヤ、ツヤなしなど | 添加剤 |
「伸び率」 | 硬質、微弾性、弾性 | 添加剤 |
「塗料の成分と機能」や「硬化剤」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【2022年最新】外壁塗装の塗料6種類の特徴・価格は?選び方と人気塗料ランキングも紹介」
2液ウレタンの種類
2液ウレタンは、混ぜ合わせる溶剤によって3種類に分類することができます。
この章では、2液ウレタンの種類ごとの特徴を解説します。
強溶剤タイプ
強溶剤タイプの2液ウレタン塗料とは、ラッカーシンナー、エポキシシンナー、ウレタンシンナーなどの強いシンナーと混ぜ合わせる塗料です。
ほかのタイプよりも費用が高く、扱いが難しいですが、耐久性が高いという特徴があります。
なお、強溶剤タイプは臭いの揮発性が高いので、人によっては塗装時に気分が悪くなることもあります。
弱溶剤タイプ
強溶剤タイプの2液ウレタン塗料とは、塗料用シンナーとよばれる薄めのシンナーと混ぜ合わせる塗料です。
水性タイプと強溶剤タイプの間に位置し、強溶剤タイプほど臭いがきつくないですが、水性タイプよりも耐久性や密着度が高いです。
水性タイプ
水性タイプの2液ウレタン塗料とは、水と混ぜ合わせる塗料です。
シンナーの臭いがしないので、DIY等でも使用しやすい塗料となっています。
近年はあまり大きな差はなくなってきていますが、弱溶剤タイプや強溶剤タイプのようなシンナーと混ぜ合わせる塗料と比較すると、耐久性に劣ります。
2液ウレタンのメリット
2液ウレタン塗料は、主剤と硬化剤が分かれていることによって以下のようなメリットがあります。
- 耐用年数が長い
- 塗装可能な素材が多い
- 保管期間が長い
- 発色がよい
- 塗膜に弾性があるのでひび割れしにくい
- メンテナンスがしやすい
それぞれ詳しく見てみましょう。
①耐用年数が長い
2液ウレタン塗料は、1液ウレタンに比べて約2年耐用年数が長いのがメリットです。
例として、エスケー化研のウェブサイトで「クリーンマイルドウレタン」と「一液マイルドウレタン」の公称耐用年数を比較すると、2液型である前者は10~12年、1液型である後者は8~10年となっています。
2液型のほうが耐用年数が長い理由は、硬化剤の混合により「重合」という分子の結合反応がより強くおこるためです。
②塗装可能な素材が多い
ウレタン樹脂のものに限らず、2液型塗料は幅広い素材に塗ることができます。
前項と同様に「クリーンマイルドウレタン」と「一液マイルドウレタン」の適用下地を比較したところ、2液型の前者は8種類、1液型の後者は4種類でした。
「クリーンマイルドウレタン」(2液型) | 「一液マイルドウレタン」(1液型) |
---|---|
コンクリート セメントモルタル ALCパネル スレート板 GRC板 押出成形セメント板 各種サイディングボード 鉄部・金属 |
コンクリート セメントモルタル サイディングボード |
2液ウレタン塗料の多くは、トタン板やガルバリウム鋼板などの金属系素材に塗装可能なのに対し、1液型塗料は金属を適用下地としない製品が多い傾向があります。
③保管期間が長い
未開封状態での使用期限が長いのも2液ウレタン塗料のメリットです。1液型塗料は、未開封でもほんの少しずつ硬化がすすんでいる状態です。
そのため、製造から半年~1年間ほどで使用期限が来てしまいますが、2液型はこれよりも長期間保存しておくことができます。
④発色がよい
2液ウレタン塗料で塗装した塗膜は光沢感があり、発色の良い塗膜となります。
落ち着いて上品な仕上がりにしたい場合は、発色はそのままにつや消し加工をすることも可能です。
そのため、2液ウレタン塗料はバイクなどのカスタム塗装によく用いられます。
なお、同じウレタン塗料でも、1液型ウレタン塗料はわずかに茶色がかった仕上がりになります。
⑤塗膜に弾性があるのでひび割れしにくい
2液ウレタン塗料は柔らかく弾性がある塗料のため、伸縮性が高いです。
伸縮性の高い塗料の塗膜には、ひび割れを起こしにくいという特徴があります。
⑥メンテナンスがしやすい
先述の通り、2液ウレタン塗料は伸縮性に優れているので、塗膜にヒビが入りにくいです。
ヒビが入らず塗膜が安定した状態で保つことができるので素地が傷みにくく、再び塗装を行う際の下地処理が容易です。
2液ウレタンのデメリット
一方、2液ウレタン塗料には以下のようなデメリットもあります。
- 混合作業が必要になる
- 混ぜたらすぐに使う必要がある
- 価格が若干高い
- 湿気に弱い
- 紫外線にやや弱く、変色が起きやすい
こちらも詳しく確認しておきましょう。
①混合作業が必要になる
2液型塗料では、使用前に主剤の硬化剤の混合・撹拌作業が発生します。
この作業は、単純に液体同士を混ぜればいいわけではなく、機械や分量計算が必要な、非常に手間のかかる工程です。
②混ぜたらすぐに使う必要がある
2液型塗料は、硬化剤と混ぜ合わせると、おおむね3~5時間で固まってしまいます。
そのため、悠長に作業をしたり、余った塗料を翌日に持ち越すことができません。
これは、スプレータイプの2液ウレタン塗料も同様です。スプレータイプの場合、混合後15時間以内に使い切る必要があります。
③価格が若干高い
2液ウレタン塗料は、1液型のものに比べて、塗装面積1㎡あたり200~300円、割合にして8~12%ほど高価です。
例として、エスケー化研の「クリーンマイルドウレタン」と「一液マイルドウレタン」の設計価格(*)を比較したところ、2液型の前者は1,800円/㎡、1液型の後者は1,600円/㎡でした。
*設計価格には、下塗り材の価格は含まれていません。④湿気に弱い
2液ウレタン塗料に含まれる硬化剤は、水分に反応しやすいという特性をもっています。
そのため、湿度が高いときに塗装を行うと塗料の撹拌がうまくいかず、塗装後の塗膜の耐久性が落ちてしまう可能性があります。
⑤紫外線にやや弱く、変色が起きやすい
2液ウレタン塗料に限らず、ウレタン塗料はシリコン塗料などと比較すると変色を起こしやすいです。
特に紫外線に長く晒されるような環境だと、耐用年数よりも前に退色がはじまることも珍しくありません。
これはイソシアネートという成分が原因と言われています。
なお、最近ではイソシアネートを抑えて退色を防ぐものも登場しています。
業者依頼でもDIYよりオトクに塗装する方法
2液ウレタン塗料はDIY向けの商品がたくさん売っており、費用を安く押さえるために自分で塗ろうと検討している人も多いでしょう。
しかし、素人が塗装をすると「すぐに塗膜が剥がれる」「色持ちが悪くすぐに変色してしまう」などの懸念点が挙げられます。
できることなら、業者に安い価格で施工してもらいたいですよね。
実は、助成金や火災保険金が使えれば、数万円から数十万円単位で安く塗装できる可能性があります。
想像よりも安い費用で塗装してくれるなら嬉しいですよね!
外壁塗装を安くするための助成金・火災保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
2液ウレタンのおすすめ塗料
最後に、2液ウレタン塗料の中でおすすめの塗料をいくつかご紹介します。
商品名 | メーカー | 概要 |
---|---|---|
弱溶剤型2液 ウレタンスプレー | アサヒペン | ・スプレー型の2液型ウレタン塗料 ・金属、プラスチックに塗装可能 ・販売価格:2093円/本 |
クリーンマイルドウレタン | エスケー化研 | ・塗料メーカー大手のエスケー化研が販売する住宅用塗料 ・一般内外壁、建築構造物の乾式パネル、各種金属部材などに塗装可能 ・設計価格:1,800円/m2 |
弱溶剤型2液 ウレタンスプレー
弱溶剤型2液 ウレタンスプレーは、DIY用塗料の大手メーカーであるアサヒペンが販売するスプレータイプの2液ウレタン塗料です。
弱溶剤タイプのため下地や旧塗膜を傷つけにくく、扱いになれていない方でも使いやすい塗料となっています。
電気器具、機械器具、自転車、オートバイ、自動車などの鉄製品に塗装をすることができるので、幅広い用途に対応します。(※非鉄金属、メッキ面に直接塗装は不可)
標準の塗装回数は2回で、光沢のある美しい塗装面に仕上がります。
価格は、300mlのスプレー缶1本が2,000~2,500円ほどとなっています。
クリーンマイルドウレタン
クリーンマイルドウレタンは、塗料メーカー最大手の一角であるエスケー化研が販売する住宅用の2液ウレタン塗料です。
ウレタン塗料の中ではやや長めの耐用年数が特徴で、10~12年の耐用年数があります。
幅広い外壁材に加え、鉄部にも塗装が可能なので、ウレタン塗料の中では人気の高い商品となっています。塗膜の仕上がりについても、艶有り、7分艶、5分艶、3分艶の4つから選ぶことができるので、マットな質感の壁を求める方に最適です。
設計価格は、1㎡あたり1,800円となっています。
2液ウレタンの塗装方法
最後に、2液ウレタン塗料で塗装する際の手順を確認しておきましょう。
スプレータイプの2液ウレタン塗料の塗装方法
スプレータイプの2液ウレタン塗料は、トリガーを引くことで混ぜ合わさった状態の塗料が噴出する仕組みになっているため、そのまま吹き付けて塗装することが可能です。
具体的な手順は以下のとおりです。
- 塗装する箇所の周辺の養生作業を行う
- 塗装面の汚れを軽く落とす
- スプレー缶を振って内部をよく混ぜ合わせる
- ムラにならないようスプレーをして塗装する
- 10~20分程度表面を乾かし、重ね塗りする
- 4.~5を2~3回繰り返す
なお、風が強い日の作業は噴出した液体が思わぬところへ飛散する可能性があるので、風のない日を選んで作業しましょう。
一般的な2液ウレタン塗料の塗装方法
一般的な液状の2液ウレタン塗料の場合は、指定の溶剤を指定の濃度で混ぜ合わせ、刷毛やローラーなどで塗装することになります。
具体的な手順は以下のとおりです。
- 塗装する箇所の周辺の養生作業を行う
- 塗装面の汚れを軽く落とす
- 仕様書と塗装面の種類に沿った下塗り材を塗装し、乾燥させる
- 溶剤と2液ウレタン塗料を仕様書の指定通りの分量で混ぜ合わせる
- ローラーや刷毛などで塗装する
- 仕様書が指定する乾燥時間に沿って乾燥させたあと、重ね塗りする
- 4.~5.を2回繰り返す
スプレータイプではない2液ウレタン塗料は、商品によって使用方法が大きく異なります。
そのため、基本的にはカタログや仕様書にのっている指示どおりに塗装を行いましょう。
なお、使用する塗料によっては溶剤による健康被害が起こる可能性があるので、できる限り防毒マスクなどを身につけて作業しましょう。


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外壁塗装するといくら?








まとめ
以上、2液ウレタン塗料の性能や代表商品、使い方の解説でした。
外壁塗装をお考えの際は、新築時にやりとりしたハウスメーカーよりも、地元の塗装業者に相談するほうが、安くて高品質な工事を受けられるためオススメです。
当ページからも、あなたの家のリフォーム適正金額や、業者からの相見積りを取り寄せることができますので、この機会にご利用いただければ幸いです。
最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。
2液ウレタン塗料のメリットは?
1液型よりも「耐久性」と「塗装可能な素材の数」などに優れています。詳しく知りたい方は2液ウレタンのメリットをご覧ください。
2液ウレタン塗料のデメリットは?
1液型よりも「扱いやすさ」と「価格の安さ」に劣ります。詳しくは2液ウレタンのデメリットをご覧ください。
2液ウレタン塗料は、1液ウレタンよりどのぐらい価格が高い?
2液ウレタン塗料は、1液型のものに比べて、塗装面積1㎡あたり200~300円、割合にして8~12%ほど高価です。詳しくはデメリット|③価格が若干高いをご覧下さい。
2液ウレタンと1液ウレタンは、結局どちらがいい?
よりきれいで長持ちする「2液ウレタン」をオススメします。詳しくは2液ウレタンと1液ウレタン、結局どっちがいい?をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。