既存の住宅では最も多く利用されている「屋根瓦」は、種類も豊富にあり、耐久性や性能もバラバラです。
そこで本記事では、住宅用の屋根瓦の外見の画像とともに種類や耐用年数、メリット・デメリットなどを解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
屋根瓦とは?
屋根瓦とは、文字通り「瓦」を屋根材として利用しているものです。
粘土やセメントを焼き固めて作られるのが特徴で、耐久性や遮音性に優れています。歴史は古く、平城京や平安京にも用いられるなど、1,000年以上の歴史があります。
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屋根瓦の構造は「本体(瓦)+下地材+防水層」で成り立っており、それぞれの役割は以下の通りです。
- 本体(瓦):屋根を覆う主材料で、耐久性やデザイン性を担う
- 下地材(野地板):瓦を支えるためのベースとなる板材
- 防水層(ルーフィング):瓦の隙間からの雨水侵入を防ぐ役割
和瓦と洋瓦の違い
屋根瓦には大きく分けて「和瓦」と「洋瓦」があります。
和瓦は日本の伝統的な屋根瓦となっており、波を打ったような形が特徴です。一方で洋瓦はヨーロッパを中心に使われていた瓦でカラーバリエーションが豊富なのが特徴です。
それぞれの違いは、以下の表の通りです。
瓦の種類 | 特徴 | 代表的な瓦 | 主な用途 | 形状 | 耐久性 |
---|---|---|---|---|---|
和瓦![]() |
重厚感がある日本の伝統的なデザインな瓦 | いぶし瓦 釉薬瓦 |
和風住宅 神社仏閣 城 |
J瓦 | 50~100年 |
洋瓦![]() |
ヨーロッパ風で軽量に設計された瓦 | 粘土瓦 セメント瓦 金属瓦 |
洋風建築 モダンな住宅 |
S型 F型 M型 |
20~50年 |
屋根瓦の耐用年数は?
屋根瓦の耐用年数は非常に長く、60年とされています。
ほかの屋根材と比較しても抜群に耐用年数が長いため、長期間同じ家に住む場合やランニングコストも含めた長期的なコスト面でもお得になることがほとんどです。
ほかの屋根材との耐用年数の比較は以下の表の通りです。
屋根材 | 耐用年数 |
---|---|
屋根瓦 | 60年 |
金属 | 40年 |
スレート屋根 | 30年 |
アスファルトシングル | 25年 |
屋根瓦の三大産地
屋根瓦は3つの瓦が「日本3大瓦」として知られており、日本全国の瓦流通量の80%以上を担っています。
三大産地のそれぞれの特徴は、以下の表の通りです。
3大瓦 | 生産地 | 特徴 | 色 | 使われている場所 |
---|---|---|---|---|
三州瓦 | 愛知県三河地方 | 全国シェア1位、和瓦、洋瓦とも取り扱っており、バリエーションが豊富 | さまざま | 日本全国 |
石州瓦 | 島根県石見地方 | 塩害に強く、寒冷地や沿岸部での利用が多い | 赤、黒 | 寒冷地、沿岸部 |
淡路瓦 | 兵庫県淡路島 | 伝統的なイメージのいぶし瓦を多く生産 | 灰色 | 日本全国 |
三州瓦
三州瓦は日本国内において瓦生産量の約60%を占めている瓦です。
その歴史は300年以上を誇り、全国的に普及しています。
S型やF型などデザイン性も豊富で、瓦を設置する際にまず考える種類になります。石州瓦
石州瓦は赤褐色が特徴の瓦です。
島根県石見地方が生産地であることから、山陰地方で見られる赤褐色の瓦は石州瓦であることが少なくありません。焼く際の温度は約1,200度という非常に高温で、硬く強い瓦となり、吸水率が低く、耐久性が高いのが特徴です。
寒冷地や沿岸部など瓦へのダメージを負いやすい地域に広く用いられています。
淡路瓦
淡路瓦は伝統的ないぶし銀と呼ばれる色合いの「いぶし瓦」を多く生産しているのが特徴です。
淡路島で取れる良質な粘土を使用しており、和風建築の住宅や仏閣などで多く利用されている瓦になります。葺き上りが美しく、伝統的な佇まいを表現できるため、人気の高い瓦となっています。
屋根瓦の種類と特徴7選
▼瓦の画像や名称をクリックすると、それぞれの解説にジャンプします。
屋根瓦の種類 | 特徴 | 耐用年数 | 参考価格/㎡ |
---|---|---|---|
![]() いぶし瓦 |
銀黒色。一般的な日本瓦のイメージ | 50年以上 | 11,000~13,500円/㎡ |
![]() 釉薬瓦 |
黒・青・緑など多彩。表面がガラス質で光沢が特徴 | 50年以上 | 9,500~12,000円/㎡ |
![]() 窯変瓦 |
オレンジ・赤・茶・濃茶色。一枚ずつ色合いや濃淡が異なる | 50年以上 | 11,550~15,500円/㎡ |
![]() セメント瓦 |
灰色。他の瓦と異なり耐用年数が短く、塗装が必要 | 20~30年 | 5,000~10,000円/㎡ |
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セメントを主成分に、樹脂や繊維を混ぜて補強した軽量な屋根瓦 | 約40年 | 8,000円/㎡ |
![]() 軽量セメント瓦 |
セメント瓦をさらに軽量化 | 約20年 | 9,200円~/㎡ |
![]() プラスチック瓦 |
重量が陶器瓦の6分の1。耐震性がもっとも高い | 20~30年 | – |
屋根瓦の種類① いぶし瓦
いぶし瓦は、最終工程で煙でいぶすことにより、表面を炭素膜で覆われた瓦のことです。
外見はにぶいツヤのある銀色をしているのが特徴です。釉薬によるコーティングよりも渋い光沢となっており、和風のデザインに最適な屋根瓦となっています。
いぶし瓦の耐用年数は50年以上あり、破損するまで繰り返し使用可能です。
なお、ヒビ、欠け等が発生した場合は交換が必要となります。
いぶし瓦の施工費用
瓦の施工費用は、屋根の形状と使う瓦の形状(デザイン)によって変わります。
いぶし瓦の場合は、切妻屋根、寄棟屋根でそれぞれ以下の表の通りです。
瓦の形状 | 屋根の形状 | |
---|---|---|
切妻屋根 | 寄棟屋根 | |
和形瓦(J形) | 11,000円/㎡ | 12,500円/㎡ |
改良洋形瓦(S形) | 11,500円/㎡ | 13,000円/㎡ |
平板瓦(F形) | 12,600円/㎡ | 13,500円/㎡ |
いぶし瓦の施工例
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兵庫県南あわじ市内の一戸建ての屋根をS形のいぶし瓦で葺いた例。
洋形といっても日本風に仕上がらないわけではなく、ギンクロ色の重厚さ、甍の波など伝統的な日本瓦の特徴が感じられる。
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兵庫県内南あわじ市の一般住宅のF形いぶし瓦の施工例。
いかにも日本瓦らしい外見ではないので、周囲の家からも浮きづらい仕上がり。
京都の美観地区内にある住宅に施工されたJ形のいぶし瓦の施工例。
数寄屋造りの形状が現代風にアレンジされている。
屋根瓦の種類② 釉薬瓦
釉薬瓦(別名:陶器瓦)は、表面がガラス質でコーティングされており、つやつやな光沢があるのが特徴です。
また、釉薬によって着色できるため、カラーバリエーションも豊富にあります。表面の小さな孔が釉薬で塞がれているため、耐水性にも優れています。
釉薬瓦の耐用年数は50年以上あり、破損するまで繰り返し使用可能です。なおヒビ、欠け等が発生した場合は交換が必要となります。
釉薬瓦の施工費用
釉薬瓦の施工にかかる費用は、切妻屋根、寄棟屋根でそれぞれ以下の表の通りです。
いぶし瓦の施工費用よりも若干安いのが特徴です。
瓦の形状 | 屋根の形状 | |
---|---|---|
切妻屋根 | 寄棟屋根 | |
和形瓦(J形) | 9,500円/㎡ | 11,500円/㎡ |
改良洋形瓦(S形) | 10,500円/㎡ | 12,000円/㎡ |
平板瓦(F形) | 9,600円/㎡ | 10,000円/㎡ |
釉薬瓦の施工例
兵庫県南あわじ市内の戸建住宅にS形釉薬瓦を使用した例。
無釉の瓦にはない青緑色のカラーリングが実現。
兵庫県神戸市内の連棟戸建て住宅にJ形釉薬瓦と使用した例。
隣り合った棟同士で瓦の色をイエローで揃えているが、若干色味を変えることでメリハリがついた好例。
屋根瓦の種類③ 窯変瓦
窯変瓦は、焼成中に窯に送り込む酸素の量を変えながら焼き上げた瓦のことです。
外見は、灰色に近いものから明るい赤茶色まで幅があり、かつ1枚ごとにバラつきがあるのが特徴です。
窯変瓦も、他の陶器系瓦と同様に50年以上の耐用年数があります。
破損するまで繰り返し使用可能ですが、窯変瓦にヒビ、欠け等が発生した場合は交換が必要です。
窯変瓦の施工費用
窯変瓦の施工費用は、いぶし瓦のものに準じますが、窯変瓦を屋根に葺く際には1枚ごとの色味の個性を計算してバランス良くなるよう並べる手間がかかるため、5~15%ほど工賃が高くなることがほとんどです。
窯変瓦の施工例
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兵庫県洲本市の一般住宅の屋根にJ形の窯変瓦を葺いた例。
1枚ごとに濃淡が微妙に異なる窯変瓦が、遠近どちらから見ても美しく良く見えるよう計算されて配置されている。
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上の例よりもややモダンなデザインの住宅の屋根に施工されたS形の窯変瓦。
近づいた写真をみると、瓦1枚のなかにもグラデーションがかかっているものがいくつか確認できる。
兵庫県・西宮市内のモデルハウスの屋根に葺かれたF形の窯変瓦。
黄色や茶色を多用した洋風な外壁ともよくマッチしている。
屋根瓦の種類④ セメント瓦
セメント瓦は、粘土瓦に比べると形が揃っていて施工しやすいのが特徴です。
一方で、美観の維持のために塗装メンテナンスが欠かせないことや、古くなると急速に劣化する特徴もあります。
スレート屋根材が登場してからは価格的・性能的にあえて選ぶ理由がない素材とされています。
セメント瓦の耐用年数は使用開始から20~30年です。コケや退色など美観の問題が発生した場合は塗装、ヒビ、欠け等が発生した場合は瓦の交換が必要となります。
セメント瓦の施工費用
セメント瓦の施工費用は、概ね5,000~10,000円/㎡が見込みになります。
屋根瓦の種類⑤ 樹脂繊維セメント瓦
樹脂繊維セメント瓦は、セメントを主成分に、樹脂や繊維を混ぜて補強した軽量な屋根瓦です。
樹脂繊維セメント瓦の耐用年数は約40年で、割れにくく耐久性が高いことが特徴です。
さらに粘土瓦の約1/2〜1/3の重さで、耐震性を向上できることから、近年人気が高まっている屋根瓦になります。
樹脂繊維セメント瓦の施工費用
樹脂繊維セメント瓦の施工費用は、約8,000円/㎡が目安となっています。
屋根瓦の種類⑥ 軽量セメント瓦(防災瓦)
軽量セメント瓦(防災瓦)は、伝統的な瓦の重厚感を感じるデザインをなるべく維持したまま、耐震性を高めた屋根瓦です。
代表的な製品として、ケイミューの「ROOGA(ルーガ)シリーズ」が知られています。
軽量セメント瓦の耐用年数は約20年です。使用開始から約10年で塗装、約20年の経過もしくは全体にヒビ等が発生した場合は葺き替えが必要となります。
軽量セメント瓦の施工費用
軽量セメント瓦の代表製品であるROOGA(ルーガ)シリーズの実勢価格は、9,200円/㎡が目安となっています。
軽量セメント瓦の施工例
いぶし瓦の外見に近い「ルーガ雅(みやび)」を使った一戸建てです。
陶器というよりも天然石に近い、重厚感・ランダム感のあるイメージの「ルーガ鉄平(てっぺい)」を使用した一戸建てです。
屋根瓦の種類⑦ プラスチック瓦
プラスチック瓦は、FRP(繊維強化プラスチック)などの樹脂素材を瓦状に成形した屋根材です。
最大の特徴は陶器瓦の6分の1という軽量さからくる耐震性の高さです。素材がプラスチックであることから、メンテナンス頻度はやや高くなる傾向にあります。
プラスチック瓦の耐用年数は20~30年が目安です。耐用年数を迎える前でも、ヒビ・欠け等が発生した場合は交換ないし葺き替えが必要となります。
プラスチック瓦の施工例
伝統的な和瓦の形状に近い「カルカ・ルーフ 天平(てんぴょう)」を使用した施工事例です。
住宅の主な屋根材の種類や特徴については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせて確認してみてください。
屋根瓦の形状の種類
屋根瓦の形状は主に以下の4種類があります。
なお、瓦のうち形状の違いがあるのは「いぶし瓦」や「釉薬瓦」などの陶器系のものが中心となっています。
▼瓦の画像や名称をクリックすると、それぞれの解説にジャンプします。
屋根瓦の種類 | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
![]() J形瓦 |
最もスタンダードな形状。別名「和形瓦」 | 9,500円~12,500円/㎡ |
![]() F形瓦 |
フラットな形状をした瓦。別名「平板瓦」 | 9,600円~13,500円/㎡ |
![]() S形瓦 |
S字形にふたつの丸みがある瓦。別名「改良洋形瓦」 | 10,500円~13,000円/㎡ |
![]() 本葺き瓦 |
平らな瓦の上に丸い瓦がかぶさっている瓦。寺社に多い | 20,000円/㎡以上 |
形状の種類① J形瓦
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瓦の「J形」とは、後述の「本葺き瓦」の平板部分と丸い部分を1枚に結合した形状のことです。
別名「和形瓦」とも呼ばれ、サイズはJIS規格で定められています。
J形瓦のデザイン
和風・洋風どちらの家にも幅広く使われています。スタンダードな形状となっておりどんな家とも相性がよいのが特徴です。
J形瓦の価格
J形瓦の価格は、4つの形状のうち最も安価となっています。
ただし、F形瓦と価格に違いはほとんどなく、屋根形状によってはF形瓦のほうが安くなる場合もあります。
J形瓦の施工費用は、屋根形状や瓦の製法によって9,500円~12,500円/㎡が相場となります。
- スタンダードなデザインの瓦を選びたい
- 価格をなるべく抑えて設置したい
形状の種類② F形瓦
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F形瓦は丸みがない平らな板状をした形をした瓦のことです。F形の「F」は、「フレンチ」もしくは「フラット」の頭文字とされています。
別名「平板瓦」とも呼ばれ、明治に輸入された“フレンチ瓦”がそのルーツといわれています。
F形瓦のデザイン
F形瓦は直線的なラインを活かせる、モダンな雰囲気の建物に多く利用されています。
洋風住宅や現代建築の洗練された印象は、F形瓦が貢献していることがほとんどです。
F形瓦の価格
F形瓦の価格は、4つの形状の中でも平均的な価格帯となっています。
施工費用は、屋根形状や瓦の製法によって9,600円~13,500円/㎡が相場となっています。
- スタイリッシュな雰囲気の家にしたい
- 重厚な屋根よりも、オシャレな屋根にしたい
形状の種類③ S形瓦
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S形瓦は、上下の両方向に丸みがついたデザインの瓦のことです。
明治以降に輸入された“スパニッシュ瓦”を改良した形となっており、S形の「S」は「スパニッシュ」の頭文字から取られています。
S形瓦のデザイン
葺いた際の凹凸が大きく、表情豊かな屋根になるのが特徴です。和風・洋風のどちらでも用いられますが、洋風での利用が多くなっています。設置することでポップで個性的なイメージを演出できます。
S形瓦の価格
S形瓦の価格は、J形・F形よりやや高めです。
施工費用は、屋根形状や瓦の製法によって10,500円~13,000円/㎡が相場となっています。
ただし屋根形状が寄棟の場合は、F形より安く済むことも少なくありません。
- スタイリッシュな雰囲気の家にしたい
- 親しみやすく個性的な家にしたい
- 瓦の重苦しい雰囲気を出したくない
- 費用をかけても問題ない
形状の種類④ 本葺き瓦
本葺き瓦は、丸瓦と平瓦を2枚組み合わせたデザインとなっています。
一般住宅のほか、寺院や城の屋根にもよく使用されている瓦であることでも知られています。
本葺き瓦のデザイン
本葺き瓦は、日本で初めて瓦が葺かれた飛鳥時代から使われている最も源流に近い形をしているのが特徴です。
本葺き瓦にすることで、伝統・風格のある雰囲気を醸し出す家になります。
本葺き瓦の価格
本葺き瓦の価格は、他の3形状より1.5~2倍程度高い価格帯になっています。
施工費用は20,000円/㎡以上を考慮しておく必要があるでしょう。
- 費用が高価になっても、伝統美追求したい
屋根瓦のメンテナンス方法
屋根瓦は耐久性が高い一方で、適切なメンテナンスを行わないと劣化が進み、雨漏りや瓦の落下といったトラブルを引き起こす可能性があります。
屋根瓦は耐久性の高さが特徴ですが、以下のような症状が見られた場合は、修理を検討しましょう。
2.瓦の釘が浮いている
3.漆喰が割れたり、崩れてたりしている
4.棟瓦が破損している
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屋根瓦のメンテナンス方法を「屋根瓦のズレ・割れ」「棟補修」「防水紙の劣化」から解説していきます。
屋根瓦のズレ・割れ
屋根瓦のズレや割れは地震や台風などの災害があると、起こりやすいものです。
瓦が割れている場合は差し替えを行い、補修しておく必要があります。
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屋根瓦のメンテナンス方法をズレや割れが1ヶ所でもあると被害が広がる恐れがあるので、早急に対処しましょう。
棟補修
屋根の棟には雨水が建物の内部に侵入してくるのを防ぐ役割や、屋根の安定性を高める役割があります。
屋根の棟では経年劣化による漆喰の剝がれなどが起こるため、約10年に一度のペースで点検を行いましょう。
また、台風や地震によっても棟は不具合が起こる可能性があるため、都度確認することも大切です。
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万が一、棟が歪んでいる場合は棟を積みなおす必要があるため、早急に業者に相談してください 。
防水紙の劣化
屋根瓦の下には防水紙(ルーフィング)を設置されています。
防水紙が設置されていることで、瓦が割れたりしても簡単に雨水が建物の侵入できないような仕組みになっています。しかし、防水紙が劣化し、穴などが開いてしまうと雨漏りにつながってしまうため、最低でも20~25年を目途に葺き直し工事などを行うことが必要です。
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葺き替え工事を行うことで、安心して住むことにつながります。
屋根瓦のメリット
屋根瓦のメリットには、主に以下の4つが挙げられます。
屋根瓦のメリット
- 耐久性が高い
- 断熱性・遮音性に優れている
- 瓦ならではのデザイン性
- 部分的な修理が可能
耐久性が高い
屋根瓦の最大のメリットは、耐久性の高さにあります。
瓦を1度焼いているため紫外線の影響を受けにくく、色褪せや腐食も起こりにくく、スレート屋根のようにひび割れや、金属系素材のように錆が発生するリスクも少ないのが特徴です。
実際に能登半島地震ではガイドライン工法に基づいて施工された屋根瓦を扱っている住宅では、被害が確認されなかったという調査報告も出ています。
変形や劣化するスピードが遅いため、塗装が不要な屋根瓦もあります。
断熱性・遮音性に優れている
屋根瓦は断熱性・遮音性に優れているのもメリットです。
なぜなら下地と瓦の間に空気の層ができるため、外の熱を直接伝えにくい構造になっているからです。
屋根瓦には断熱性があるため、夏は涼しく冬は暖かくを実現できます。
また、外部の雨音や騒音を効果的に吸収するため、他の屋根材と比べ遮音性にも優れています。
瓦ならではのデザイン性
屋根瓦はデザインが豊富にあり、好みにあわせた瓦を選べるのも魅力的な点です。
和のテイストはもちろんのこと、オレンジ色やブラウンといった暖色系の屋根瓦もあるため、洋風なデザインも表現できます。
自宅の屋根を個性のあるおしゃれな屋根にしたい場合は、屋根瓦が最適です。
部分的な修理が可能
屋根瓦は一枚ずつ取り外せるため、破損が起きた箇所だけを部分的に修復することが可能です。
屋根材によっては部分修理が不可能なものもあるため、破損個所のみを修理できるのはコスト面でもメリットになります。
また、手間も少ないため容易に修復が行えます。
屋根瓦のデメリット
屋根瓦のデメリットには、主に以下の2つが挙げられます。
屋根瓦のデメリット
- 耐震性が低い
- 初期費用が高い
耐震性が低い
屋根瓦は他の屋根材よりも重さがあるため、屋根に負荷がかかり、構造部の負担も大きくなるのがデメリットです。
とくに数十年前に建てられた住宅に設置している屋根瓦は、現在の耐震基準とは異なるため、地震の際には注意が必要です。
現在の耐震基準で設置されている屋根瓦は、瓦を釘で固定する設計で安全とされているますが、一度確認しておくとよいでしょう。
初期費用が高い
初期費用の高さもデメリットのひとつです。瓦は伝統的な建材で、製造過程や技術にも高度な工程が必要とされます。そのため、瓦の材料費や施工費が他の屋根材より高い傾向にあります。
初期費用は高いですが、耐久性・メンテナンス性も考慮したトータルコストで考えると、ほかの屋根材よりもコストパフォーマンスは低くありません。
屋根瓦とほかの屋根材の比較
屋根材には瓦以外にも、スレート屋根やガルバリウム鋼板などが住宅には利用されています。それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下の表の通りです。
屋根材 | 特徴 | メリット | デメリット | 耐用年数 | 相場価格(1㎡あたり) |
---|---|---|---|---|---|
屋根瓦 | 瓦を重ねて施工する伝統的な屋根材 | 耐久性が高い デザイン性が豊富 耐火性が優れている 断熱性・遮音性が高い |
重量が重い 耐震性に影響がある |
50年以上 | 約8,000~16,000円 |
スレート屋根 | セメントを薄く成型した板状の屋根材 | 軽量で安価 デザインがシンプルで現代的 |
耐久性が低い 断熱性・遮音性が劣る |
約30年 | 約4,000~5,000円 |
ガルバリウム鋼板(金属屋根) | アルミニウム・亜鉛合金でメッキされた鋼板を使用した屋根材 | 軽量で耐震性が高い 耐久性が高い メンテナンスが楽 |
断熱性・遮音性が低い | 約30年 | 約5,000~10,000円 |
各屋根材にはそれぞれの特徴があり、建物のデザイン、予算、耐久性、メンテナンス性などを考慮して選ぶことが重要です。
屋根瓦が向いている家としては、和風建築の家であったり、長期間の耐久性を求める家であればおすすめになります。
屋根瓦についてまとめ
耐用年数が高い瓦ですが、劣化症状が見られる場合にはすぐに対処することが大切です。
種類や特徴を押さえておき、屋根のメンテナンスなどを行う際には本記事を参考にしてみてください。
なお、屋根工事は専門性の高い工事になるため、工事を行う際は専門家への相談がおすすめです。
ヌリカエでは、全国2500社以上の加盟店の中から、屋根瓦に詳しい優良業者に絞ってご紹介することが可能です。
相談は無料ですので、ぜひ一度問い合わせてみてください。