年月が経って、色あせやサビが目立ってきたトタン屋根。この古くなったトタン屋根は、どのように塗装すればよいのでしょうか?
そこで本記事では、以下のような事柄について解説していきます。
- トタン屋根塗装に必要な道具
- トタン屋根の塗装手順
特に、トタン屋根の塗装手順については、写真付きで全6ステップに分けて解説しています。
後半では、面倒なさび取りが不要で1回塗りだけで仕上がるおすすめの塗料についてもご紹介していますので、トタン屋根を自分で塗装しようと考えている方の参考となれば幸いです。
「トタン屋根」についてイチから知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「トタン屋根とは? 古くなったトタン屋根、いつ修理すべき?」
- 塗装後に長持ちさせるには、塗料を塗る以外に「ケレン」「下塗り」などの作業も重要
- 塗装作業は2日に分けて行うと安心
- 塗料によっては、さび取りや下塗りが不要なものもある
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監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
トタン屋根塗装で必要になる道具
トタン屋根を塗装するためには、塗料やローラーなどいくつかの道具が必要です。
- 塗料
- ローラー・刷毛
- 養生シート
- その他
塗料
まずは、トタン屋根用の塗料を準備しましょう。
トタン屋根は金属性のため、さび止め防止剤が配合されているものがおすすめです。なかにはさび止め材配合で、面倒なさび取り不要で誰でも簡単に塗れるものもあります。
以下におすすめのトタン屋根用の塗料をいくつかご紹介しますので、購入の際の参考にしてみてください。
【アサヒペン「アクリルトタン用α」】
「アクリルトタン用α」は、さびの上から直接塗れるトタン用アクリル塗料です。
ケレン作業や下塗りが必要ないため、1回の塗装作業で済ませることができます。トタンのほか、ガルバリウム鋼板にも塗装可能です。
色は、黒や茶色のほか、レッドやブルー、クリーム色など、明るい色も取り揃えています。
【基本性能】
樹脂 | アクリル |
---|---|
下塗り | 不要 |
耐用年数 | 5年~8年 |
乾燥時間 | 夏:2~3時間、冬:5~8時間 |
色 | 11色 |
【アサヒペン「水性スーパーコート】
「水性スーパーコート」は、水性のシリコンアクリル系のトタン用塗料です。こちらも「アクリルトタン用α」と同様に下塗りは必要なく、1回塗るだけで仕上がります。
水性のため、ペンキ独特のいやな臭いがありません。そのため、近隣との距離が近い方やペットを飼われている方にもおすすめです。
【基本性能】
樹脂 | シリコン |
---|---|
下塗り | 不要 |
耐用年数 | 7年~10年 |
乾燥時間 | 夏:30分~1時間、冬:2時間~3時間 |
色 | 45色 |
【ニッペホームプロダクツ「シリコントタン屋根用」】
「シリコントタン屋根用」は、錆取りと下塗りが不要なシリコン系のトタン屋根用塗料です。さび止め材配合なので、耐久性にも期待できます。
光沢が強いのが特徴なので、鮮やかに仕上がるでしょう。乾きも早く冬場の作業でも結露や凍結の心配が少ない塗料となります。
「基本性能」
樹脂 | シリコン |
---|---|
下塗り | 不要 |
耐用年数 | 7年~10年 |
乾燥時間 | 夏:約1.5時間、冬:約3時間 |
色 | 7色 |
「トタン屋根向けの塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「トタン屋根向けの塗料をランキング形式で紹介」
ローラー・刷毛
塗料を屋根全体に広げるためのローラーや刷毛も必要になります。
塗装面積が大きい場合は、幅の広いローラーの方が効率よく作業できるでしょう。凹凸面や細かい箇所も塗ることになるので、小さい刷毛もあると便利です。以下におすすめのトタン屋根用の塗料をいくつかご紹介しますので、購入の際の参考にしてみてください。
【ローラー】
画像出典:モノタロウ(ローラー)、
モノタロウ(ハンドル)
こちらのローラーは形が波型になっているため、トタン屋根を塗り漏れなくスムーズに塗装できます。ローラーとハンドルは別売になっていることも多いため、別々で買う場合は使いたい幅のローラーとハンドルが適合するかどうか確認するようにしてください。
【刷毛】
毛量が豊富なトタン用の刷毛です。あらゆる面を細やかに塗れるため、刷毛はこれさえあれば問題ないことが多いでしょう。
養生シート
トタン屋根塗装では、周囲に塗料が飛散する可能性があります。そのため、汚したくない箇所は養生シートで覆う必要があります。
養生シートは、小さなものであればスーパーのビニール袋やごみ袋などで代用できますが、自転車や車など大きなものは専用の養生シートの方が使い勝手が良くおすすめです。
例えば、下記のような商品がおすすめとなります。
その他
塗料とローラー・刷毛、養生シートの他に下記の道具も準備しておきます。
- バケツ
- トレイ
- テープ
- 塗料かき混ぜ棒
- 新聞紙
バケツは、塗料の移したり刷毛を洗う容器としても使えます。トレイは刷毛やローラーを一時的に入れておく場所としても使えるため、準備しておくと便利です。
テープは養生シートを貼るときや、塗装したくない箇所のマスキングとしても活用できます。マスキング専用のテープも売っていますので、塗り分けが必要になる場合は用意しておくと良いでしょう。
また、塗料かき混ぜ棒は細長い棒状のもので代用可能です。塗料は定期的にかき混ぜないと成分が沈殿し仕上がりに影響するため、かき混ぜるためのものは準備しておいてください。
新聞紙は養生や屋根の上で道具を並べるときや拭き取りなど様々な用途に使えるので、あれば他の道具と一緒に揃えておきましょう。
トタン屋根の塗装手順①:下地処理
トタン屋根を塗装するために、まずは下地処理を行います。下地処理は、劣化箇所の修復や塗料の密着を高めるために不可欠な工程です。
下地処理では、まずはトタン屋根全体をワイヤーブラシやヘラでこすり、さびや汚れ、剥がれかけた古い塗膜などを取り除いていきましょう。これを「ケレン作業」といいます。
ワイヤーブラシは上図のような柄付きのものを使うと、作業しやすくなります。
ケレン作業で使う道具
チャネルブラシ、ワイヤーブラシ、スクレーパー(ヘラ) など
「ケレン作業」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ケレンとは?塗装に欠かせない理由や費用相場について解説」
ケレン作業が終わったら、隙間や大きな傷ができている箇所にコーキングをします。コーキング材で隙間を埋めることにより、塗装の塗り漏れや雨漏りを防ぐことが可能です。
コ
コーキングは色付きのものもありますので、トタン屋根の色に合わせたものを使用すると修復跡が目立ちません。
コーキングで使う道具
トタン用防水充填材(コーキング)、コーキングガン、継ぎ柄
「コーキングのコツ」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「コーキングを上手に仕上げるコツとは?5つの注意点と費用相場」
ここまでが1日目の終了目安です。 次以降の工程を同日に行う場合は、コーキング材を指定時間に従って乾燥させてから行いましょう。
トタン屋根の塗装手順②:周囲の養生
ケレン作業が終わったら、下塗り塗料が飛散しないように周囲を養生しましょう。 屋根の塗料が付くと困るところ(外壁、軒先、室外機、窓サッシ、照明など)をマスキングテープなどで覆い、汚れないようにします。
また、車やバイク、自転車や草木など塗料が付くと困るところには全体的にカバーをかけるように養生しておくことが大切です。塗料は飛散しやすいため、思わぬ方向に飛んで行ってしまい周囲にある物を汚してしまう可能性があります。
養生が難しい場合には、塗料を塗るときだけ別の場所に移動させるといった対策も検討しましょう。
また、軒先や室外機など高い位置にある部分を養生する場合は、足場が不安定になままの作業になりやすいため注意してください。作業に気を取られてバランスを崩さないよう二人一組での養生や、難しい場合は無理せず業者に頼むようにしましょう。
養生で使う道具
マスキングテープ、テープ付き養生シート(マスカー)、ビニールシート など
トタン屋根の塗装手順③:錆止め材の塗布(下塗り)
周囲の養生が完了したら、錆止め材を塗っていきます。上塗り塗料の前に行うことから「下塗り」とも呼ばれる工程です。
下塗りを始める前には、あらかじめモップなどを使って屋根全体を綺麗にしておきましょう。塗装面に汚れがあると、下塗り材が密着せず機能が落ちてしまいます。
屋根を綺麗にしたら、塗料に応じた下塗り材でトタン屋根全体を塗ります。トタンは錆やすいため、錆止め材が配合された下塗り材を使うようにしてください。
また、塗るときは屋根から降りる地点が最後になるように塗りましょう。
錆止め材の塗布(下塗り)で使う道具
下塗り材(シーラー、プライマーなど)、塗装ローラー、ロング多用途ハケ など
2日目はここまでを終えるのが目安です。もし同じ日に作業を続ける場合は、材の乾燥時間が過ぎてから次の工程に移ります。
トタン屋根の塗装手順④:中塗り
下塗り材が完全に乾ききったら、中塗り塗料を塗っていきます。
中塗りは、塗装の仕上がりにおける塗りムラの発生を防ぐために必要な工程です。中塗り不要の塗料もあるため、使う製品がどのような塗り方を推奨しているのか確認しておきましょう。
塗る前は、缶をあける前に逆さにして塗料を混ぜます。
フタを開けた後も、使う前に刷毛などで下からよく混ぜて濃さを均一にしておきましょう。
塗料を混ぜたら、トタン屋根に中塗りをしていきます。
まずは、屋根の端から塗りはじめましょう。
続いて、トタンの出っ張っている部分である瓦棒(かわらぼう)を、刷毛をつかって1本ずつ塗ります。
端や瓦棒を塗り終わったら、広い平面をローラーなどを使って塗っていきましょう。下塗りのときと同様、屋根から降りる場所が最後になるように塗るのがポイントです。
中塗りで使う道具
トタン屋根用塗料、刷毛、塗装ローラー、ロング多用途ハケ など
3日目はこれで終了です。同じ日に上塗りを行う場合は、塗料の乾燥時間が過ぎてからにしてください。
トタン屋根の塗装手順⑤:上塗り
中塗りの乾燥後、中塗りと同じ塗料で上塗りを行います。
中塗りと同様、屋根から降りる地点を最後に来るように塗っていきましょう。中塗りのときに発生した気泡や塗りムラなどがあれば、表面が滑らかになるように仕上げていきます。
色のノリや艶は上塗りに左右されるため、丁寧かつ平滑に塗り広げていくのが大切です。
DIYでトタン屋根を塗装した場合は、3年~6年おきの塗装が必要とされています。
トタン屋根の塗装手順⑥:片付け
塗装が終わったら、すぐに刷毛やローラーについた塗料を洗い流します。塗料が完全に固まってしまうと後から取り除くことが難しくなってしまうため、なるべく早く洗うのが良いです。
水性塗料の場合は水で、油性塗料の場合は「ペイントうすめ液」と呼ばれるもので洗いましょう。優しくみ洗いすると汚れがよく取れます。汚れ落ちが気になる方は、さらに食器用洗剤でも洗うことで綺麗になるのでおすすめです。
洗い終わった道具は、日陰となる涼しい場所で保管しておくと劣化を防げます。
また、養生箇所がある場合はシートを回収しておきましょう。
片付けで使う道具
ペイントうすめ液、食器用洗剤、バケツ、新聞紙など
まとめ
トタン屋根の塗装に必要な道具や詳しい手順について紹介していきました。
トタン屋根は小屋などに使われていることも多いため、自分で塗装しようと考えている方も多いでしょう。道具がない場合は揃える必要がありますが、それでも業者に頼むよりも費用はかかりません。
しかし、高所作業になるため安全性には十分に注意する必要があります。また、トタン自体の劣化状態によっては塗装のみで修復できないケースもあるでしょう。
トタン屋根の劣化や損傷が激しい場合、ガルバリウム屋根に葺き替えたほうが長い目でみてお得です。
あなたのお宅の相場額診断や見積もりの取り寄せは、当ページからも可能です。
記事をお読みいただいた方に、この機会にご利用いただければ大変幸いです。
「塗装を業者依頼した場合の費用」について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「トタン屋根の修理費用まとめ|症状別・工事別の金額をズバリ掲載」
そもそも「塗装」ってどんな意味なのだろう…こんな疑問を持つ方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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